戸籍法
❖ 第一章 総則
第一条 戸籍に関する事務は、市町村長がこれを管掌する。
○2 前項の事務は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第2条第9項1号に規定する第1号法廷受託事務とする。
第二条 市町村長は、自己又はその配偶者、直系尊属若しくは直系卑属に関する戸籍事件については、その職務を行うことができない。
第三条 法務大臣は、市町村長が戸籍事務を処理するにあたりよるべき基準を定めることができる。
○2 市役所又は町村役場の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の長は、戸籍事務の処理に関し必要があると認めるときは、市町村長に対し、報告を求め、又は助言若しくは勧告をすることができる。この場合において、戸籍事務の処理の適正を確保するため特に必要があると認めるときは、指示をすることができる。
○3 戸籍事務については,地方自治法第245条の4、第245条の7第2項第1号、第3項及び第4項、第245条の8第12項及び第13項並びに第245条の9第2項第1号、第3項及び第4項の規定は、適用しない。
第四条 この法律中市、市長及び市役所に関する規定は、特別区においては特別区、特別区の区長及び特別区の区役所に、地方自治法第二百五十二条の十九第一項の指定都市においては区及び総合区、区長及び総合区長並びに区及び総合区の区役所にこれを準用する。
❖ 第二章 戸籍簿
第六条 戸籍は、市町村の区域内国籍を定める一の夫婦及びこれと氏を同じくする子ごとに、これを編製する。ただし、日本人ではない者(以下「外国人」という。)と婚姻をした者又は配偶者がいない者について新たに戸籍を編製するときは、その者及びこれと氏を同じくする子ごとに、これを編製する。
第七条 戸籍は、これを綴って帳簿とする。
第八条 戸籍は、正本と副本を設ける。
〇2 正本は、これを市役所又は町村役場に備え、副本は、管轄法務局若しくは地方法務局又はその支局がこれを保管する。
第九条 戸籍は、その筆頭に記載した者の氏名及び本籍でこれを表示する。その者が戸籍から除かれた後も、同様である。
第十条 戸籍に記載されている者(その戸籍から除かれた者(その者に係る全部の記載が市町村長の過誤によってされたものであって、当該記載が第二十四条第二項の規定によって訂正された場合におけるその者を除く。)を含む。)又はその配偶者、直系尊属若しくは直系卑属は、その戸籍の謄本若しくは抄本又は戸籍に記載した事項に関する証明書(以下「戸籍謄本等」という。)の交付の請求をすることができる。
〇2 市町村長は、前項の請求が不当な目的によることが明らかなときは、これを拒むことができる。
〇3 第一項の請求をしようとする者は、郵便その他の法務省令で定める方法により、戸籍謄本等の送付を求めることができる。
第十条の二 前条第一項に規定する者以外の者は、次の各号に掲げる場合に限り戸籍謄本等の交付の請求をすることができる。この場合において、当該請求する者は、それぞれ当該各号に定める事項を明らかにしてこれをしなければならない。
一 自己の権利を行使し、又は自己の義務を履行するために戸籍の記載事項を確認する必要がある場合権利又は義務の発生原因及び内容並びに当該権利を行使し、又は当該義務を履行するために戸籍の記載事項の確認を必要とする理由。
二 国又は地方公共団体の機関に提出する必要がある場合戸籍謄本等を提出すべき国又は地方公共団体の機関及び当該機関への提出を必要とする理由。
三 前二項に掲げる場合のほか、戸籍の記載事項を利用する正当な理由がある場合戸籍の記載事項の利用の目的及び方法並びにその利用を必要とする事由。
〇2 前項の規定にかかわらず、国又は地方公共団体の機関は、法令の定める事務を遂行するために必要がある場合には、戸籍謄本等の交付の請求することができる。この場合において、当該請求の任に当たる権限を有する職員は、その官職、当該事務の書類及び根拠となる法令の条項並びに戸籍の記載事項の利用の目的を明らかにしてこれをしなければならない。
〇3 第一項の規定にかかわらず、弁護士(弁護士法人を含む。次項において同じ。)、司法書士(司法書士法人を含む。次項において同じ。)、土地家屋調査士(土地海区調査士法人を含む。次項において同じ。)、税理士(税理士法人を含む。次項において同じ。)、社会保険労務士(社会保険労務士法人を含む。次項においても同じ。)、弁理士(特許業務法人を含む。次項において同じ。)、海事代理士又は行政書士(行政書士法人を含む。)は、受任している事件又は事務に関する業務を遂行するために必要がある場合には、戸籍謄本等の交付の請求をすることができる。この場合において、当該請求する者は、その有する資格、当該業務の種類、当該事件又は事務の依頼者の氏名又は名称及び当該依頼者についての第一項各号に定める事項を明らかにしてこれをしなければならない。
〇4 第一項及び前項の規定にかかわらず、弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士又は弁理士は、受任している事件について次に掲げる業務を遂行するために必要がある場合には、戸籍謄本の交付の請求をすることができる。この場合において、当該請求する者は、その有する資格、当該事件の種類、その業務として代理し又は代理しようとする手続及び戸籍の記載事項の利用の目的を明らかにしてこれをしなければならない。
一 弁護士にあっては、裁判手続又は裁判外のおける民事上若しくは行政上の紛争処理の手続についての代理業務(弁護士法人については弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)第三十条の六第一項各号に規定する代理業務を除く。)
二 司法書士にあっては、司法書士法(昭和二十五年法律第百九十七号)第三条第一項第三号及び第六号ら第八号までに規定する代理業務(同行第七号及び第八号に規定する相談業務並びに司法書士法人については同行第六号に規定する代理業務を除く。)
三 土地家屋調査士にあっては、土地家屋調査士法(昭和二十五年法律第二百二十八号)第三条第一項第二号に規定する審査請求の手続についての代理業務並びに同項第四号及び第七号に規定する代理業務。
四 税理士にあっては、税理士法(昭和二十六年法律第二百三十七号)第二条第一項第一号に規定する不服申立て及びこれに関する主張又は陳述についての代理業務。
五 社会保険労務士にあっては、社会保険労務士法(昭和四十三年法律第八十九号)第二条第一項第一号に規定する審査請求、異議申立て及び再審査請求並びにこれらに係る行政機関等の調査又は処分に関し当該行政機関等に対してする代理業務(同条第三項第一号に規定する相談業務を除く。)
六 弁理士にあっては、弁理士法(平成二十年法律第四十九号)第四条第一項に規定する特許庁における手続(不服申立てに限る。)異議申立て及び裁定に関する経済産業大臣に対する手続(裁定の取消しに限る。)についての代理業務、同条第二項第一号に規定する税関長又は財務大臣に対する手続(不服申立てに限る。)についての代理業務、同項第二号に規定する代理業務、同法第六条に規定する訴訟の手続についての代理業務並びに同法第六条の二第一項に規定する特定侵害訴訟の手続についての代理業務(特許業務法人については同法第六条に規定する訴訟の手続についての代理業務及び同法第六条の二台一項に規定する特定侵害訴訟の手続についての代理業務を除く。)
〇5 第一項及び第三項の規定にかかわらず、弁護士、刑事に関する事件における弁護人としての業務、少年の保護事件若しくは心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(平成十五年法律第百十号)第三条に規定する処遇事件における付添人としての業務、逃亡犯罪人引渡審査請求事件における保佐人としての業務、人身保護法(昭和二十三年法律第百九十九号)第十四条第二項の規定により裁判所が選任した代理人としての業務、人事訴訟法(平成十五年法律第百九号)第十三条第二項及び第三項の規定により裁判長が選任した訴訟代理人としての業務又は民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第三十五条第一号に規定する特別代理人としての業務を遂行するために必要がある場合には、戸籍謄本等の交付の請求をすることができる。この場合において、当該請求する者は、弁護士の資格、これらの業務の別及び戸籍の記載事項の利用の目的を明らかにしてこれをしなければならない。
〇6 前条第三項の規定は、前各号の請求をしようとする者について準用する。
第十条の三 第十条第一項又は前条第一項から第五項までの請求をする場合において、現に請求の任に当たっている者は、市町村長に対し、運転免許証を提示する方法その他の法務省令で定める方法により、当該請求の任に当たっている者を特定するために必要な氏名その他の法務省令で定める事項を明らかにしなければならない。
〇2 前項の場合において、現に請求の任に当たっている者が、当該請求する者(前条第二項の請求にあっては、当該請求の任に当たる権限を有する職員。以下この項及び次条において「請求者」という。)者は、市町村長に対し、法務省令で定める方法により、請求者の依頼又は法令の規定により当該請求の任に当たるものであることを明らかにする書面を提出しなければならない。
第十条の四 市町村長は、第十条の第一項から第五項までの請求がされた場合において、これらの規定により請求者が明らかにしなければならない事項が明らかにされていないと認めるときは、当該請求者に対し、必要な説明を求めることができる。
第十一条 戸籍簿の全部又は、一部が、減失したとき、又は減失のおそれがあるときときは、法務大臣は、その再製又は補完については必要な処分を指示する。この場合において減失したものであるときは、その旨を告示しなければならない。
第十一の二 虚偽の届出等(届出、報告、申請、請求若しくは嘱託、証書若しくは航海日誌の謄本又は裁判をいう。以下この項において同じ)若しくは錯誤による届出又は市町村長の過誤によって記載がされ、かつ、その記載につき第二十四条第二項、第百十三条、第百十四条又は第百十六条の規定によって訂正された戸籍について、当該戸籍に記載されている者(その戸籍から除かれた者を含む。次項において同じ。)から当該訂正に係る事項の記載のない戸籍の再製の申出があったときは、法務大臣は、その再製について必要な処分を指示する。ただし、再製によって記載に錯誤又は遺漏がある戸籍となるときは、この限りではない。
〇2 市町村長が記載するに当たって文字の訂正、追加又は削除した戸籍について、当該戸籍に記載されている者から、当該訂正追加または削除に係る事項に記載にない戸籍の再製の申出があったときも、前項本文と同様とする。
第十二条 一戸籍内の全員をその戸籍から除いたときは、その戸籍は、これを戸籍簿から除いて別につづり、除籍簿として、これを保存する。
〇2 第九条、第十一条及び前条の規定は除籍簿及び除かれた戸籍について準用する。
第十二条の二 第十条から第十条の四までの規定は、除かれた戸籍の謄本若しくは抄本又は除かれた戸籍に記載した事項に関する証明書(以下「除籍謄本等」という。)の交付の請求をする場合に準用する。
❖ 第三章 戸籍の記載
第十三条 戸籍には、本籍の外、戸籍内の各人について、左の事項を記載しなければならない。
一 氏名。
二 出生の年月日。
三 戸籍に入った原因及び実父母と続柄。
五 養子であるときは、養親の氏名及び養親の続柄。
六 夫婦については、夫又は妻である旨。
七 他の戸籍から入った者については、その戸籍の表示。
八 その他法務省令で定める事項。
第十四条 氏名を記載するには、左の順序による。
第一 夫婦が、夫の氏を称するときは夫、妻の氏を称するときは妻。
第二 配偶者
第三 子
〇2 子の間では、出生の前後による。
〇3 戸籍を編製した後にその戸籍に入るべき原因が生じた者については、戸籍の末尾にこれを記載する。
第十五条 戸籍の記載は、届出、報告、申請、請求もしくは嘱託、証書若しくは航海日誌の謄本又は裁判によってこれをする。
第十六条 婚姻の届出があったときは、夫婦について新戸籍を編製する。但し、夫婦が、夫の氏を称する場合に夫、妻の氏を称する場合に妻が戸籍の筆頭に記載した者である時はこの限りではない。
〇2 前項但書の場合には、夫の氏を称する妻は、夫の戸籍に入り、妻の氏を称する夫は、妻の戸籍に入る。
〇3 日本人と外国人との婚姻の届出があったときは、その日本人について新戸籍を編製する。ただし、その者が戸籍の筆頭に記載したものであるときは、この限りではない。
第十七条 戸籍の筆頭に記載した者及びその配偶者以外の者がこれと同一の氏を称する子または養子を有するに至ったときは、その者について新戸籍を複製する。
第十八条 父母の氏を称する子は、父母の戸籍に入る。
〇2 前項の場合を除く外、父の氏を称する子は、父の戸籍に入り、母の氏を称する子は、母の戸籍に入る。
〇3 養子は、養親の戸籍に入る。
第十九条 婚姻又は養子縁組によって氏を改めた者が、離婚、離縁又は婚姻若しくは縁組の取消によって、婚姻又は縁組前の氏に復するときは、婚姻又は縁組前の戸籍に入る。但し、その戸籍が既に除かれているとき、又はその者が新戸籍編製の申出をしたときは新戸籍を編製する。
〇2 前項の規定は、民法第七百五十一条第一項の規定によって婚姻前の氏に復する場合及び同法第七百九十一条第四号の規定によって従前の氏に復する場合にこれを準用する。
〇3 民法第七百六十七条第二項(同法第七百四十九条及び第七百七十一条において準用する場合を含む。) 又は同法第八百十六条第二項(同法第八百八条第二項において準用する場合を含む。) の規定によって離婚若しくは婚姻の取消し又は離縁若しくは縁組の取消しの際に称していた氏を称する旨の届出があった場合において、その届出をした者を筆頭に記載した戸籍が編製されていないとき、又はその者を筆頭に記載した戸籍に在る者が他にあるときは、その届出をした者について新戸籍を編製する。
第二十条 前二条の規定によってほかの戸籍に入るべき者に配偶者があるときは、前二条の規定にかかわらず、その夫婦について新戸籍を複製する。
第二十条の二 第百七条第二項又は第三項の規定によって氏を変更する旨の届出があった場合において、その届出をした者の戸籍に在る者が他にある時は、その届出をした者について新戸籍を編製する。
〇2 第百七条第四項において準用する同条第一項の規定によって氏を変更する旨の届出があったときは、届出事件の本人について新戸籍を編製する。
第二十条の三 第六十八条の二の規定によって縁組の届出があったときは、まず養子について新戸籍を編製する。ただし、養子が養親の戸籍に在るときは、この限りでない。
〇2 第十四条第三号の規定は、前項ただし書の場合に準用する。
第二十条の四 性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律(平成十五年法律第百十一号)第三条第一項の規定による性別の取扱いの変更の審判があった場合において、当該性別の取扱いの変更の審判を受けた者の戸籍に記載されている者(その戸籍から除かれたものを含む。) が他にあるときは、当該性別の取扱いの変更の審判を受けた者について新戸籍を編製する。
第二十一条 成年に達した者は、分籍をすることができる。但し、戸籍の筆頭に記載した者及びその配偶者はこの限りでない。
〇2 分籍の届出があったときは、新戸籍を編製する。
第二十二条 父又は母の戸籍に入る者を除く外、戸籍に記載がない者について新たに戸籍に記載をすべきときは、新戸籍を編製する。
第二十三条 第十六条乃至第二十一条の規定によって新戸籍を編製され、又は他の戸籍に入る者は従前の戸籍から除籍される。死亡し、失踪の宣言を受け又は国籍を失った者も、同様である。
❖ 第4章 届出
第二十四条 戸籍の記載が法律上許されないものであること又はその記載に錯誤若しくは遺漏があることを発見した場合には、市町村長は、遅滞なく届出人又は届けて事件の本人にその旨を通知しなければならない。但し、その錯誤又は遺漏が市町村長の過誤によるものであるときはこの限りでない。
〇2 前項の通知をするすることができないとき、又は通知をしても戸籍訂正の申請する者がないときは、市町村長は、管轄法務局又は地方法務局の長の許可を得て、戸籍の訂正をすることができる。前項ただし書の場合も、同様である。
〇3 裁判所その他の官庁、検察官又は吏員がその職務上戸籍の記載が法律上許されない者であること又はその記載に錯誤若しくは遺漏があることを知ったとき、遅滞なく届出事件の本人の本籍地の市町村長にその旨を通知しなければならない。
第一節 通則
第二十五条 届出は、届出事件の本人の本籍地又は届出人の所在地でこれをしなければならない。
〇2 外国人に関する届出は届出人の所在地でこれをしなければならない。
第二十六条 本籍が明らかでない者又は、本籍がない者について、届出があった後に、その者の本籍が明らかになったとき、又はその者が本籍を有するに至ったときは、届出人又は届出事件の本人は、その事実を知った日から十日以内に、届出事件を表示して、届出を受理した市町村長にその旨を届け出なければならない。
第二十七条 届出は、書面又は口頭でこれをすることができる。
第二十七条の二 市町村長は、届出によって効力を生ずべき認知、縁組、離縁、婚姻又は離婚の届出(以下この条において「縁組等の届出」という。) が市役所又は町村役場に出頭した者によってされる場合には、当該出頭した者に対し、法務省令で定めるところにより、当該出頭した者が届出事件の本人(認知にあっては認知する者、民法第七百九十七条第一項に規定する縁組にあって養親となる者及び養子となる者の法定代理人、同法第八百十一条第二項に規定する離縁にあっては養親及び養子の法定代理人となるべき者とする。次項及び第三項において同じ。)であるかどうかの確認するため、当該出頭した者を特定するために必要な氏名その他法務省令で定める事項を示す運転免許証その他の資料の提供又はこれらの事項についての説明を求めるものとする。
〇2 市町村長は、縁組等の届出があった場合において、届出事件の本人のうちに、前項の規定による措置によっては市役所又は町村役場に出頭して届け出たことを確認することができない者があるときは、当該縁組等届出を受理したことを通知しなければならない。
〇3 何人も、その本籍地の市町村長に対し、あらかじめ、法務省令で定める方法により、自らを届出事件の本人とする縁組等の届出がされた場合であっても、自らが市役所又は町村役場に出頭して届け出たことを第一項の規定による措置により確認することができないときは当該縁組等の届出を受理しないよう申し出ることができる。
〇4 市町村長は、前項の規定による申出に係る縁組等の届出があった場合において、当該申出をした者が市役所又は町村役場に出頭して届け出たことを第一項に規定による措置により確認することができなかったときは、当該縁組の届出を受理することができない。
〇5 市町村長は、前項の規定により縁組等の届出を受理することができなかった場合は、遅滞なく、第三項の規定による申出をした者に対し法務省令で定める方法により当該縁組等の届出があったことを通知しなければならない。
第二十八条 法務大臣は、事件の種類によって、届書の様式を定めることができる。
〇2 前項の場合には、その事件の届出は、当該様式によってこれをしなければならない。但し、やむを得ない事由があるときは、この限りでない。
第二十九条 届書には、ひだりの事項を記載し、届出人がこれ、これを署名し、印をおさなければならない。
一 届出事件。
二 届出の年月日。
三 届出人と出生の年月日、住所及び戸籍の表示。
四 届出人と届出事件の本人と異なるときは、届出事件の本人の氏名、出生の年月日、住所、戸籍の表示および届出人の資格。
第三十条 届出事件によって、届出人又は届出事件の本人が他の戸籍に入るべきときは、そのこものが従前の戸籍の表示を、その者について新戸籍を編製すべきときは、その旨、新戸籍編製の原因及び新本籍を届書に記載しなければならない。
〇2 届出事件によって、届出人若しくは届出事件の本人でない者が他の戸籍に入り、又はその者について新戸籍を編製すべきときは、届書にその者の氏名、出生の年月日及び住所を記載する外、その者が他の戸籍に入るか又はその者について新戸籍を編製するかに区別に従って、前項に掲げる事項を記載しなければならない。
〇3 届出人でない者について新戸籍を編製すべきときは、その者の従前の本籍と同一の場所を新本籍と定めたものとみなす。
第三十一条 届出をすべき者が未成年者又は成年被後見人であるときは、親権を行う者又は後見人を届出義務者とする。ただし、未成年者又は成年被後見人が届出をすることを防げない。
〇2 親権を行う者又が届出をする場合には届書に次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 届出をすべき者の氏名、出生の年月日及び本籍。
二 行為能力の制限の原因。
三 届出人が親権を行う者又は後見人である旨。
第三十二条 未成年者又は成年被後見人がその法定代理人の同意を得ないですることができる行為については、未成年者又は成年被後見人がこれを届け出なければならない。
第三十三条 証人を必要とする事件の届出については、証人は、届書に出生の年月日、住所及び本籍を記載して署名し、印をおさなければならない。
第三十四条 届書に記載すべき事項であって、存しないもの又は知れないものあるときは、その旨を記載しなければならない。
〇2 市町村長は、特に重要であると認める事項を記載しない届書を受理することができない。
第三十五条 届書には、この法律その他の法令に定める事項の外、戸籍に記載すべき事項を明らかにするために必要である者はこれを記載しなければならない。
第三十六条 二箇所以上の市役所又は町村役場で戸籍の記載をすべき場合には、市役所又は町村役場の数と同数の届書を提出しなければならない。
〇2 本籍地外で届出をするときは、前項の規定によるものの外、なお、一通の届書を提出しなければならない。
〇3 前二項の場合に、相当と認めるときは、市町村長は届書の謄本を作り、これを届書に代えることができる。
第三十七条 口頭で届出をするには、届出人は、市役所又は町村役場に出頭し、届書に記載すべき事項を陳述しなければならない。
〇2 市町村長は、届出人の陳述を筆記し、届出の年月日を記載して、これを届出人に読み聞かせ、且つ、届出人に、その書面に署名させ、印をおさせなければならない。
〇3 届出人が疾病その他の事故によって出頭することができないときは、代理人によって届出をすることができる。但し、第六十条、
第六十一条、第六十六条、第六十八条、第七十条乃至第七十二条、第七十四条、及び第七十六条の届出については、この限りでない。
第三十八条 届出事件について父母その他の者の同意又は承諾を必要とするときは、届書にその同意又は承諾を証する書面を添附しなければならない。但し、同意又は承諾をした者に、届書にその旨を附記させて、署名させ、印をおさせるだけで足りる。
〇2 届出事件について裁判又は官庁の許可を必要とするときは、届書に裁判又は許可書の謄本を添附しなければならない。
第三十九条 届書に関する規定は、第三十七条第二項及び前条第一項の書面にこれを準用する。
第四十条 外国に在る日本人は、この法律の規定に従って、その国に駐在する日本の大使、公使又は領事に届出をすることができる。
第四十一条 外国に在る日本人がその国の方式に従って、届出事件に関する証書を作らせたときは、三箇月以内にその国に駐在する日本の大使、公使又は領事にその証書の謄本を提出しなければならない。
〇2 大使、行使又は領事がその国に駐在しないときは、三箇月以内に本籍地の市町村長に証書の謄本を発送しなければならない。
第四十二条 大使、公使又は領事は、前二条の規定によって書類を受理したときは、遅滞なく、外務大臣を経由してこれを本人の本籍地の地町村長に送付しなければならない。
第四十三条 届出期間は、届出事件発生の日からこれを起算する。
〇2 裁判が確定した日から期間を起算すべき場合に、裁判が送達又は交付前に確定したときは、その送達又は交付の日からこれを起算する。
第四十四条 市町村長は、届出を怠った者があることを知ったときは、相当の期間を定めて、届出義務者に対し、その期間内に届出をすべき旨を催告しなければならない。
〇2 届出義務者が前項の期間内に届出をしなかったときは、市町村長は、更に相当の期間を定めて、催告をすることができる。
〇3 第二十四条第二項の規定は、前二項の催告をすることができない場合及び催告をしても届出をしない場合に、同条第三項の規定は、裁判所その他の官庁、検察官又は吏員がその職務上届出を怠った者があることを知った場合にこれを準用する。
第四十五条 市町村長は、届出を受理した場合に届書に不備があるため戸籍の記載をすることができないときは、届出人に、その追完をさせなければならない。この場合には、前条の規定を準用する。
第四十六条 届出期間が経過した後の届出であっても、市町村長は、これを受理しなければならない。
第四十七条 市町村長は、届出人がその生存中に郵便又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)第二条第六項に規定する一般信書便事業者若しくは同条第九項に規定する特定信書便事業者による同条第二項に規定する信書便によって発送した届書については、当該届人の死亡後であっても、これを受理しなければならない。
〇2 前項の規定によって届書が受理されたときは、届出人の死亡の時に届出があったものとみなす。
第四十八条 届出人は届出の受理又は不受理の証明書を請求することができる。
〇2 利害関係人は、特別の事由がある場合に限り、届書その他市町村長の受理した書類の閲覧を請求し、又はその種類に記載した事項について証明書を請求することができる。
〇3 第十条第三項及び第十条の三の規定は、前二項の場合に準用する。
第二節 出生
第四十九条 出生の届出は、十四日以内(国外で出生があったときは、三箇月以内)にこれをしなければならない。
〇2 届書には、次の事項を記載しなければならない。
一 子の男女の別及び嫡出子又は嫡出出ない子の別。
二 出生の年月日時分及び場所。
三 父母の氏名及び本籍、父又は母が外国人であるときは、その氏名及び国籍。
四 その他法務省令で定める事項。
〇3 医師、助産師又はその他の者が出産に立ち合った場合には、医師、助産師、その他の者の順序に従ってそのうちの一人が法務省令・厚生労働省令の定めるところによって作成する出生証明書を届書に添付しなければならない。ただし、やむを得ない事由があるときはこの限りでない。
第五十条 子の名には、常用平易な文字を用いなければならない。
〇2 常用平易な文字の範囲は、法務省令でこれを定める。
第五十一条 出生の届出は出生地でこれをすることができる。
〇2 汽車その他の交通機関(船舶を除く。以下同じ)の中で出生があったときは母がその交通機関から降りた地で、航海日誌を備えない船舶の中で出生があったときはその船舶が最初に入港した地で、出生の届出をすることができる。
第五十二条 嫡出子出生の届出は、父又は母がこれをし、この出生前に父母が離婚した場合には、ははがこれをしなければならない。
〇2 嫡出でない子の出生の届出は、母がこれをしなければならない。
〇3 前二項の規定によって届出をすべき者が届出をすることができない場合には、左の者は、その順序に従って、届出しなければならない。
第一 同居者.
第二 出産に立ち会った医師、助産師又はその他の者。
〇4 第一項又は第二項の規定によって届出をすべき者が届出をすることができない場合には、その者以外の法定代理人も、届出をすることができる。
第五十三条 嫡出子否認の訴を提起したときであっても、出生の届出をしなければならない。
第五十四条 民法第七百七十三条の規定によって裁判所が父を定むべきときは、出生の届出は、母がこれをしなければならない。この場合には、届書に父が未定である事由を記載しなければならない。
〇2 第五十二条第三項及び第四項の規定は、前項の場合にこれを準用する。
第五十五条 航海中に出生があったときは、船長は、二十四時間以内に、第四十九条第二項に掲げる事項を航海日誌に記載して、署名し、印をおさなければならない。
〇2 前項の手続をした後に、船舶が日本の港に著いたときは、船長は、遅滞なく出生に関する航海日誌の謄本をその地の市町村長に送付しなければならない。
〇3 船舶が外国の港に著いたときは、船長は、遅滞なく出生に関する航海日誌の謄本をその国に駐在するにほんの大使、公使又は領事に送付し、大使、公使又は領事は、遅滞なく外務大臣を経由してこれを本籍地の市町村長に送付しなければならない。
第五十六条 病院、刑事施設その他の公設所で出生があった場合に、父母が共に届出をすることができないときは、公設所の長又は、管理人が、届出をしなければならない。
第五十七条 棄児を発見した者又は棄児発見の申告を受けた警察官は、二十四時間以内にその旨を市町村長に申し出なければならない。
〇2 前項の申出があったときは、市町村長は、氏名をつけ、本籍を定め、且つ、附属品、発見の場所、年月日時その他の状況並びに氏名、男女の別、出生の推定年月日及び本籍を調書に記載しなければならない。その調書は、これを届書とみなす。
第五十八条 前条第一項に規定する手続をする前に、棄児が死亡したときは、死亡の届出とともにその手続をしなければならない。
第五十九条 父又は母は、棄児を引き取ったときは、その日から一箇月以内に、出生の届出をし、且つ、戸籍の訂正を申請しなければならない。
第三節 認知
第六十条 認知をしようとする者は、左の事項を届出に記載して、その旨を届け出なければならない。
一 父が認知をする場合には、ははの氏名及び本籍。
二 死亡した子を認知する場合には、死亡の年月日並びにその直系卑属の氏名、出生の年月日及び本籍。
第六十一条 胎内に在る子を認知する場合には、届書にその旨、母の氏名及び本籍を記載し、母の本籍地でこれを届け出なければならない。
第六十二条 民法第七百八十九条第二項の規定によって嫡出子となるべき者について、父母が嫡出子出生の届出をしたときは、その届出は、認知の届出の効力を有する。
第六十三条 認知の裁判が確定したときは、訴を提起した者は、裁判が確定した日から十日以内に、裁判の謄本を添附して、その旨を届け出なければならない。その届書には、裁判が確定した日を記載しなければならない。
〇2 訴え提起した者が前項の規定による届出をしないときは、その相手方は、裁判の謄本を添附して、認知の裁判が確定した旨を届け出ることができる。この場合には、同項後段の規定を準用する。
第六十四条 遺言による認知の場合には、遺言執行者は、その就職の日から十日以内に、認知に関する遺言の謄本を添附して、第六十条又は第六十一条の規定に従って、その届出をしなければならない。
第六十五条 認知された胎児が死体で生まれたときは、出生届出義務者は、その事実を知った日から十四日以内に、認知の届出地で、その旨を届け出なければならない。但し、遺言執行者が前条の届出をした場合には、遺言執行者が、その届出をしなければならない。
第四節 養子縁組
第六十六条 縁組をしようとする者は、その旨を届け出なければならない。
第六十七条 削除。
第六十八条 民法第七百九十七条の規定によって縁組の承諾をする場合には、届出は、その承諾をするものがこれをしなければならない。
第六十八条の二第六十三条第一項の規定は、縁組の裁判が確定した場合に準用する。
第六十九条 第六十三条の規定は、縁組取消の裁判が確定した場合にこれを準用する。
第六十九条の二 第七十三条の二の規定は、民法第八百八条第二項において準用する同法第八百十六条第二項の規定によって縁組の取消しの際に称していた氏を称しようとする場合に準用する。
第五節 養子離縁
第七十条 離縁をしようとする者は、その旨を届け出なければならない。
第七十一条 民法第八百十一条第二項の規定によって協議上の離縁をする場合には、届出は、その協議をする者がこれをしなければならない。
第七十二条 民法第八百十一条第六項の規定によって離縁をする場合には、生存当事者だけで、その届出をすることができる。
第七十三条 第六十三条の規定は、離縁又は離縁取消の裁判が確定した場合にこれを準用する。
〇2 第七十五条第二項の規定は、検察官が離縁の裁判を請求した場合に準用する。
第七十三条の二 民法第八百十六条第二項の規定によって離縁の際に称していた氏を称しようとする者は、離縁の年月日を届書に記載してその旨を届け出なければならない。
第六節 婚姻
第七十四条 婚姻をしようとする者は、左の事項を届書に記載して、その旨を届け出なければならない。
一 夫婦が称する氏。
二 その他法務省令で定める事項。
第七十五条 第六十三条の規定は、婚姻取消の裁判が確定した場合にこれを準用する。
〇2 検察官が訴を提起した場合には、裁判が確定した後に、遅滞なく戸籍記載の請求をしなければならない。
第七十五条の二 第七十七条の二の規定は、民法第七百四十条において準用する同法第七百六十七条第二項の規定によって婚姻の取消しの際に称していた氏を称しようとする場合に準用する。
第七節 離婚
第七十六条 離婚をしようとする者は、左の事項を届書に記載して、その旨を届け出なければならない。
一 親権者と定められる当事者の氏名及びその親権に服する子の氏名。
二 その他法務省令に定める事項
第七十七条 第六十三条の規定は、離婚又は離婚取消の裁判が確定した場合にこれを準用する。
〇2 前項に規定する離婚の届書には左の事項をも記載しなければならない。
一 親権者と定められた当事者の氏名及びその親権に復する子の氏名。
二 その他法務省令で定める事項。
第七十七条の二 民法第七百六十七条第二項(同法第七百七十一条において準用する場合を含む。)の規定によって離婚の際に称しようとする者は、離婚の年月日を届書に記載して、その旨を届け出なければならない。
第八節 親権及び未成年者後見
第七十八条 民法第八百十九条第三項但書又は第四項の規定によって協議で親権者を定めようとする者は、その旨を届け出なければならない。
第七十九条 第六十三条第一項の規定は、民法第八百十九条第三項ただし書若しくは第四項の協議に代わる裁判が確定し、若しくは親権者変更の裁判が確定した場合又は父母の一方が親権若しくは管理権の喪失の宣言を受け他の一方がその権利を行う場合において親権者に、親権又は管理権の喪失の宣言の取消しの裁判が確定した場合においてその裁判を請求した者について準用する。
第八十条 親権若しくは管理権を辞し、又はこれを回復しようとする者は、その旨を届け出なければならない。
第八十一条 民法第は百三十八条第一項に規定する場合に開始する後見(以下「未成年者の後見」という。)開始の届出は、未成年後見人が、その就職の日から十日以内に、これをしなければならない。
〇2 届出には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 後見開始の原因及び年月日。
二 未成年後見人が就職した年月日。
第八十二条 未成年後見人が更迭した場合には後任者は、就職の日から十日以内にその旨を届け出なければならない。この場合には、前条第二項の規定を準用する。
第八十三条 遺言による未成年後見人指定の場合には、規定に関する遺言の謄本を届書に添附しなければならない。
〇2 未成年後見人選任の裁判があった場合には、裁判の謄本を届書に添附しなければならない。
第八十四条 未成年者の後見の終了の届出は、未成年後見人が十日以内に、これをしなければならない。その届書には、未成年者の後見の終了の原因及び年月日を記載しなければならない。
第八十五条 未成年後見人に関するこの節の規定は、未成年後見監督人について準用する。
第九節 死亡及び失踪
第八十六条 死亡の届出は、届出義務者が、死亡の事実を知った日から七日以内(国外で死亡があったときは、その事実を知った日から三箇月以内)にこれをしなければならない。
〇2 届書には、次の事項を記載し、診断書又は検案書を添付しなければならない。
一 死亡の年月日時分及び場所。
二 その他法務省令で定める事項。
〇3 やむを得ない事由によって診断書又は検案書を得ることができないときは、死亡の事実を証すべき書面を以てこれに代えることができる。この場合には、届書に診断書又は検案書を得ることができない事由を記載しなければならない。
第八十七条 左の者は、その順序に従って、死亡の届出をしなければならない。但し、順序にかかわらず届出をすることができる。
第一 同居の親族。
第二 その他の同居者。
第三 家主、地主又は家屋若しくは土地の管理者。
〇2 死亡の届出は、同居の親族以外の親族、後見人、保佐人、補助人及び任意後見人も、これをすることができる。
第八十八条 死亡の届出は、死亡地でこれをすることができる。
〇2 死亡地が明らかでないときは死体が最初に発見された地で、汽車その他の交通機関の中で死亡があったときはその死体をその交通機関から降ろした地で航海日誌を備えない船舶の中で死亡があったときはその船舶が最初に入港した地で、死亡の届出をすることができる。
第八十九条 水難、火災その他の事変によって死亡した者がある場合には、その取調した官庁又は公署は、死亡地の市町村長に死亡の報告をしなければならない。但し、外国又は法務省令で定める地域で死亡があったときは、死亡者の本籍地の市町村長に死亡の報告をしなければならない。
第九十条 死刑の執行があったときは、刑事施設の長は、遅滞なく刑事施設の所在地の市町村長に死亡の報告をしなければならない。
〇2 前項の規定は、刑事施設に収容中死亡した者の引取人がない場合にこれを準用する。この場合には、報告書に診断書又は検案書を添附しなければならない。
第九十一条 前二条に規定する報告書には、第八十六条第二項に掲げる事項を記載しなければならない。
第九十二条 死亡者の本籍が明らかでない場合又は死亡者を認識することができない場合には、警察官は、検視調書を作り、これを添附して、遅滞なく死亡地の市町村長に死亡の報告をしなければならない。
〇2 死亡者の本籍が明らかになり、又は死亡者を認識することができるに至ったときは、警察官は、遅滞なくその旨を報告しなければならない。
〇3 第一項の報告があった後に、第八十七条第一項第一号又は第二号に掲げる者が、死亡者を認識したときは、その日から十日以内に、死亡の届出をしなければならない。
第九十三条 第五十五条及び第五十六条及び第五十六条の規定は、死亡の届出にこれを準用する。
第九十四条 第六十三条第一項の規定は、失踪宣告又は失踪宣告取消の裁判を確定した場合においてその裁判を請求した者にこれを準用する。この場合には、失踪宣告の届書に民法第三十一条の規定によって死亡したとみなされる日をも記載しなければならない。
第十節 生存配偶者の複氏及び姻族関係の終了
第九十五条 民法第七百二十八条第二項の規定によって姻族関係を終了させる意思を表示しようとする者は、死亡した配偶者の氏名、本籍地及び死亡の年月日を届書に記載して、その旨を届け出なければならない。
第十一節 推定相続人の排除
第九十七条 第六十三条第一項の規定は、推定相続人の廃除取消の裁判が確定した場合において、その裁判を請求した者にこれを準用する。
第十二節 入籍
第九十八条 民法第七百九十一条第一項から第三項まで規定によって父又は母の氏を称しようとする者は、その父又は母の氏名及び本籍を届書に記載して、その旨を届け出なければならない。
〇2 民法第七百九十一条第二項の規定によって父母の氏を称しようとする者に配偶者がある場合には、配偶者とともに届け出なければならない。
第九十九条 民法第七百九十一条第四項の規定によって従前の氏に復しようとする者は、同条第一項から第三項までにきていによって氏を改めた年月日を届書に記載して、その旨を届け出なければならない。
〇2 前項の者に配偶者がある場合には、配偶者とともに届け出なければならない。
第十三節 分籍
第百条 分籍をしようとする者は、その旨を届け出なければならない。
〇2 他の市町村に新本籍を定める場合には、戸籍の謄本を届書に添附しなければならない。
第百一条 前条第二項の場合には、分籍の届出は、分籍地でこれをすることができる。
第十四節 国籍の特喪
第百二条 国籍法(昭和二十五年法律第百四十七号)第三条第一項又は第十七条第一項若しくは第二項の規定によって国籍を取得した場合の国籍取得の届出は、国籍を取得した者が、その取得の日から一箇月以内(その旨がその日に国外に在るときは、三箇月以内)に、これをしなければならない。
〇2 届書には、次の事項を記載し、国籍取得を証すべき書面を添付しなければならない。
一 国籍取得の年月日。
二 国籍取得の際に有していた外国の国籍。
三 父母の氏名及び本籍、父又は母が外国人であるときは、その氏名及び国籍。
四 配偶者の氏名及び本籍、配偶者が外国人であるときは、その氏名及び国籍。
五 その他法務省令で定める事項。
第百二条の二 帰化の届出は、帰化した者が、告示の日から一箇月以内に、これをしなければならない。この場合における届書の記載事項については、前条第二項の規定を準用する。
第百三条 国籍喪失の届出は、届出事件の本人、配偶者又は四親等内の親族が、国籍喪失の事実を知った日から一箇月以内(届出をすべき者がその事実を知った日に国外に在るときは、その日から三箇月以内)に、これをしなければならない。
〇2 届書には、次の事項を記載し、国籍喪失を証すべき書面に添付しなければならない。
一 国籍喪失の原因及び年月日
二 新たに外国の国籍を取得したときは、その国籍。
第百四条 国籍法第十二条に規定する国籍の保留の意思の表示は、出生の届出をすることができる者(第五十二条第三項の規定によって届出をすべき者を除く。)が、出生の日から三箇月以内に、日本の国籍を保留する旨を届け出ることによって、これをしなければならない。
〇2 前項の届書は、出生の届出とともにこれをしなければならない。
〇3 天災その他第一項に規定する者の責めに帰することができない事由によって同項の期間内に届出をすることができないときは、その期間は、届出をすることができるに至った時から十四日とする。
第百四条の二 国籍法第十四条第二項の規定による日本の国籍の選択の宣言はその宣言をしようとする者が、その旨を届け出ることによって、これをしなければならない。
〇2 届書には、その者が有する外国の国籍を記載しなければならない。
第百四条の三 市町村長は、戸籍事務の処理に際し、国籍法第十四条第一項の規定により国籍の選択をすべき者が同項に定める期間内にその選択をしていないと思料するときは、その者の氏名、本籍その他法務省令で定める事項を管轄法務局又は地方法務局の長に通知しなければならない。
第百五条 官庁又は公署がその職務上国籍を喪失した者があることを知ったときは、遅滞なく本籍地の市町村長に、国籍喪失を証すべき書面を添附して、国籍喪失の報告をしなければならない。
〇2 報告書には、第百三条第二項に掲げる事項を記載しなければならない。
第百六条 外国の国籍を有する日本人がその外国の国籍を喪失したときは、その者は、その喪失の事実を知った日から一箇月以内(その者がその事実を知った日に国外に在るときは、その日から三箇月以内)に、その旨を届け出なければならない。
〇2 届書には、外国の国籍の喪失の原因及年月日を記載し、その喪失を証すべき書面を添附しなければならない。
第十五節 氏名の変更
第百七条 やむ得ない事由によって氏を変更しようとするときは、戸籍の筆頭に記載した者及びその配偶者は、家庭裁判所の許可を得て、その旨を届け出なければならない。
〇2 外国人と婚姻した者がその氏を配偶者の称している氏に変更しようとするときは、その者は、その婚姻の日から六箇月以内に限り、家庭裁判所の許可を得ないで、その旨を届け出ることができる。
〇3 前項に規定によって氏を変更した者が離婚、婚姻の取消し又は配偶者の死亡の日以後その氏を変更の際に称していた氏に変更しようとするときは、その者は、その日から三箇月以内に限り、家庭裁判所の許可を得ないで、その旨を届け出ることができる。
〇4 第一項に規定は、父又は母の称している氏に変更しようとするものに準用する。
第百七条の二 正当な事由によって名を変更しようとする者は、家庭裁判所の許可を得て、その旨を届け出なければならない。
第十六節 転籍及び就籍
第百八条 転籍しようとするときは、新本籍を届書に記載して、戸籍の筆頭に記載した者及びその配偶者が、その旨を届け出なければならない。
〇2 他の市町村に転籍をする場合には、戸籍の謄本を届書に添附しなければならない。
第百九条 転籍の届出は、転籍地でこれをすることができる。
第百十条 本籍を有しない者は、家庭裁判所の許可を得て、許可の日から十日以内に就籍の届出をしなければならない。
〇2 届書には、第十三条に掲げる事項の外、就籍許可の年月日の記載しなければならない。
第百十一条 前条の規定は、確定判決によって就籍の届出をすべき場合にこれを準用する。この場合には、判決の謄本を届書に添付しなければならない。
第百十二条 就籍の届出は、就籍地でこれをすることができる。
❖ 第五章 戸籍の訂正
第百十三条 転籍の記載が法律上許されないものであること又はその記載に錯誤若しくは遺漏があることを発見した場合には、利害関係人は、家庭裁判所の許可を得て、戸籍の訂正を申請することができる。
第百十四条 届出によって効力を生ずべき行為について戸籍の記載をした後に、その行為が無効あることを発見したときは、届出人又は届出事件の本人は、家庭裁判所の許可を得て、戸籍の訂正を申請することができる。
第百十五条 前二条の許可の裁判があったときは、一箇月以内に、その謄本を添附して戸籍の訂正を申請しなければならない。
第百十六条 確定判決によって戸籍の訂正をすべきときは、訴を提起した者は、判決が確定した日から一箇月以内に、判決の謄本を添附して、戸籍の訂正を申請しなければならない。
〇2 検察官が訴を提起した場合には、判決が確定した後に、遅滞なく戸籍の訂正を請求しなければならない。
第百十七条 第二十五条第一項、第二十七条から第三十二条まで、第三十四条から第三十九条まで、第四十三条から第四十八条まで、及び第六十三条第二項前段の規定は、戸籍訂正の申請に準用する。
❖ 第六章 電子情報処理組織による戸籍事務の取扱いに関する特例
第百十八条 法務大臣の指定する市町村長は、法務省令の定めるところにより戸籍事務の全部又は一部を電子情報処理組織によって取り扱うことができる。
〇2 前項の指定は、市町村長の、申出に基づき、告示してなければならない。
第百十九条 前条第一項の場合において、戸籍は、磁気ディスク(これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録することができる物を含む。以下同じ。)に登録し、これをもって調整する。
〇2 前項の場合においては、磁気ディスクをもって調整された戸籍を蓄積して戸籍簿として、磁気ディスクをもって調整された除かれた戸籍を蓄積して除籍簿とする。
第百二十条 前条の規定により戸籍又は除かれた戸籍が磁気ディスクをもって調整されているときは、第十条第一項又は第十条の二第一項から第五項まで(これらの規定を第十二条の二において準用する場合を含む。)の請求は、戸籍謄本等又は除籍謄本等に代えて、磁気ディスクをもって調整された戸籍又は除かれた戸籍に記録されている事項の全部又は一部を証明した書面についてすることができる。
〇2 前項の磁気ディスクをもって調整された戸籍又は除かれた戸籍に記録されている事項の全部又は一部を証明した書面は、第百条第二項及び第百八条第二項の規定並びに旅券法(昭和二十六年法律第百六十七号)その他の法令の規定の適用については、戸籍又は除かれた戸籍の謄本又は抄本とみなす。
❖ 第七章 不服申立て
第百二十一条 戸籍事件(第百二十四条に規定する請求に係るものを除く。) について、市町村長の処分を不当とする者は、家庭裁判所に不服の申立てをすることができる。
第百二十二条 第百七条第一項(同条第四項において準用する場合を含む。)、第百七条の二、第百十条第一項、第百十三条又は第百十四条の許可及び前条の不服の申立ては、家事審判法(昭和二十二年法律第百五十二号)の適用に関しては、同法第九条第一項甲類に掲げる事項とみなす。
第百二十三条 戸籍事件(次条に規定する請求に係るものを除く。)に関する市町村長の処分については、行政不服審査法(昭和三十七年法律第百六十号)による不服申立てをすることができない。
第百二十四条 第十条第一項又は第十条の二第一項から第五項までの請求(これらの規定を第十二条の二において準用する場合を含む。)、第四十八条第二項の規定による請求及び第百二十条第一項の請求について市町村長がした処分に不服がある者は、市役所又は町村役場の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の長に審査請求をすることができる。
第百二十五条 前条の処分の取消しの訴えは、当該処分についての審査請求の裁決を経た後でなければ、提起することができない。
❖ 第八章 雑則
第百二十六条 市町村長又は法務局若しくは地方法務局の長は、法務省令で定める基準及び手続により、統計の作文又は学術研究であって、公益性が高く、かつ、その目的を達成するために戸籍若しくは除かれた戸籍に記載した事項又は届書にその他市町村長の受理した書類に記載した事項に係る情報を利用する必要があると認められるもののため、その必要の限度において、これらの情報を提供することができる。
第百二十七条 戸籍事件に関する市町村長の処分については、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第二章の規定は、適用しない。
第百二十八条 戸籍及び除かれた戸籍の副本並びに第四十八条第二項に規定する書類については、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成十一年法律第四十二号)のきていは、適用しない。
第百二十九条 戸籍及び除かれた戸籍の副本並びに第四十八条第二項に規定する書類に記録されている保有個人情報(行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十八号)第二条第三項に規定する固有個人情報をいう。) については、同法第四章の規定は、適用しない。
第百三十条 行政手続法等における情報通信の技術の利用に関する法律(平成十四年法律第百五十一号。以下この条において「情報通信技術利用法」という。) 第三条第一項の規定により同項に規定する電子情報処理組織を使用してする届出の届出地及び同項の規定により同項に規定する電子情報処理組織を使用してする申請の申請地については、第四章及び第五章の規定にかかわらず、法務省令で定めるところによる。
〇2 第四十七条の規定は、情報通信技術利用法第三条第一項の規定により同項に規定する電子情報処理組織を使用した届出及び申請について準用する。
〇3 第四十条又は民法第七百四十一条若しくは第八百一条の規定による届出及び第四十一条の規定による証書の謄本の提出については、情報通信技術利用法第三条の規定は、適用しない。
〇4 戸籍及び除かれた戸籍については、情報通信技術利用法第六条の規定は適用しない。
第百三十一条 この法律に定めるもののほか、届書その他戸籍事務の処理に関し必要な事項は、法務省令で定める。
❖ 第九章 罰則
第百三十二条 戸籍の記載又は記録を要しない事項について虚偽の申出をした者は、一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。外国人に関する事項について虚偽の届出をした者は、同様とする。
第百三十三条 偽りその他不正の手段により、第十条若しくは第十条の二に規定する戸籍謄本等、第十二条条の二に規定する除籍謄本等又は第百二十条第一項に規定する書面の交付を受けた者は、三十万円以下の罰金に処する。
第百三十四条 偽りその他不正の手段により、第四十八条第二項(第百十七条において重用する場合を含む。)の規定による閲覧をし、又は同項の規定による証明書の交付を受けた者は、十万円以下の過料に処する。
第百三十五条 正当な理由がなくて期間内にすべき届出又は申請をしない者は、五万円以下の過料に処する。
第百三十六条 市町村長が、第四十四条第一項又は第二項(これらの規定を第百十七条において準用する場合を含む。)の規定によって、期間を定めて届出又は申請の催告をした場合に正当な理由がなくてその期間内に届出又は申請をしない者は、十万円以下の過料に処する。
第百三十七条 次の場合には、市町村長を十万円以下の過料に処する。
一 正当な理由がなくて届出又は申請を受理しないとき。
二 戸籍の記載又は記録をすることを怠ったとき。
三 正当な理由がなくて届書その他受理した書類の閲覧を拒んだとき。
四 正当な理由がなくて戸籍謄本等、除籍謄本等、第四十八条第一項若しくは第二項(これらの規定を第百十七条において準用する場合を含む。)の証明書又は第百二十条第一項の書面を交付しないとき。
五 その他戸籍事件について職務を怠ったとき。
第百三十八条 過料についての裁判は、簡易裁判所がする。