帰化手続き
住所地を管轄する法務局・地方法務局又はその支局(国籍課・戸籍課)での相談
専門家への相談
行政書士など
受任・報酬の決定
申請(必要書類)の収集
書類の詳細については日本国籍(帰化)必要書類ご参照
提出書類の作成・点検
法務局・地方法務局又はその支局に申請
書類の点検
諸官庁照会
- ※諸官庁(申請人の申請内容にかかる)
- (1)法務省秘書課個人情報係
- (2)税務署
- (3)年金事務所
- (4)市区町村役場
- (5)警視庁(その他管轄都道府県警)
- (6)公安調査庁
など
書類審査・調査開始
審査面接(インタビュー)・追加提出書類指示・補完
法務大臣(法務省民事局)へ進達
法務大臣決済
申請までの流れ
ポイントは書類の収集と作成
帰化は法務局の管轄である。
帰化許可申請は、入国管理局ではなく民事局(法務局)の管轄です。専門家(行政書士など)への相談を行い、専門家と最寄りの法務局に予約をとり事前相談することからスタートします。
当事務所の経験から申し上げますと、関東の地方法務局もしくはその支局によっては電話での予約から早ければ3日~7日遅ければ実際の相談にこぎつけるまでに1箇月近く待たされるケースもあります。東京・横浜・大阪のような帰化を数多く扱っている法務局又は地方法務局では、担当者が数名おりますから専門家などが同行の場合には相談受け入れに余裕がある場合には当日なり翌日も受け付けてくれることもありますが、電話で予約してからの方が話はスムーズに流れます。
専門家(行政書士など)に相談。
専門家に相談することにより、申請者が帰化(国籍を日本に変更)許可申請の要件(日本国籍取得要件ご参照)を満たしているかどうかを客観的※に確認することができます。
また、帰化許可申請にあたって提出しなければない書類(帰化に必要な書類一覧ご参照)も教えてもらえます。
なお、提出書類は各申請者の実情(サラリーマンか事業主か、婚姻・養子縁組などの身分関係など)によって種類も総枚数も大いに異なります。
【※客観的:独りよがりでなく他人の視点で考えること。】
提出書類の収集。
専門家に相談し、必要な書類が解ったらさっそく書類の収集に入ります。国籍を日本に変更する外国人の方は日本の官公庁だけの請求だけにはとどまりません、本国から取り寄せなければならない書類(国籍によって全て違う。)もあります。
又、収集を始めてから証明書(本国の卒業証書・資格証書など)の不備に気づくなど予想以上に時間と手間がかかるので注意が必要です。
提出書類の作成。
提出書類は官公庁から取り寄せる書類だけでなく、申請者が作成(専門家に依頼した場合は契約内容により専門家がほとんどあるいは一部を作成する。)しなければなりません。(帰化申請必要書類一覧ご参照)
さらに、本国から取り寄せた書類には邦訳文(日本語:翻訳者記載)の添付を義務づけられています。これも収集と同様、時間と手間がかかります。
時間のかかりすぎには要注意(単独で申請の場合)
帰化許可申請は時間がかかるものですが、あまりのもかかりすぎる場合には仕切り直しが必要です。たとえば法務局に最初の相談をしてから3ケ月以上が経っても申請書類が集まらず、法務局に申請できないような場合は思い切って専門家(行政書士など)に相談(それも帰化申請の経験が豊富なプロに相談することをお勧めします。)した方が無難でしょう。
その理由は、ずばりそれ以上の時間を掛ければ掛けるほど気持ちが折れて帰化を断念することにつながるからです。また、たとえ行政書士に依頼した場合でも(さしたる理由もなく)3~6ケ月経っても帰化許可申請書類を法務局に提出できないようでしたら、やはりこれも再検討が必要でしょう。
専門家(行政書士など)への相談
費用の点などで、専門家への相談を躊躇(ちゅうちょ)される方も多いと思います。(報酬のご案内ご参照)
しかし、相手が信頼できる専門家であるならば最初の段階で報酬について、着手金はいくら、完了金はいくら(つまり総額でいくら)、最終精算金の有無や実費など精算方法についてきちんとした委任契約の話が出るはずです。
逆に言えばそういった部分が曖昧(あいまい)な「センセイ」は、実務経験の面でも怪しいものですから、注意が必要です。
申請
申請も最初の相談と同じく、電話で予約を入れてから法務局で行います。申請は申請者本人もしくは専門家が法務局の窓口で行います。(原則、本人出頭主義)ただし、15歳未満の申請者は法定代理人(親権者など)が行います。
なお、相談予約の際に1ケ月近く待たされたような法務局ですと、申請の予約でもやはり1ケ月近く待たされることを覚悟しておかなければなりません。善は急げの精神で、思いたったらすぐに実行に移すことが迅速な手続きのカギと言えるでしょう。
審査面接
担当事務官からの質問内容
帰化申請の際に申請書類に不備がなければ法務局で受理され受付番号が付与(ふよ)されます。(※受付番号が付与されない法務局もあります。)その後早ければ2.5ヶ月から遅くとも6箇月後ぐらいに、担当事務官から連絡があり審査面接の日程が決められます。そして決められた日程に法務局に出頭して面接を行うわけですが、この担当官とは面接のときに初めて対面するため申請者の方はとても心が張り詰めた状態になるようです。
帰化申請における面接の際、何を聞かれるのか?担当事務官(法務局)は、何を確認しようとしているのかを具体的にご説明したいと思います。以下の具体例は、当事務所が今までに面接終了者や帰化された方から数多くのアンケートやインタビューをして保存してきたデーターをもとに作成したものです。したがって、これはあくまでも参考とするものなので、同じ質問がされることはありません。しかし、法務省(法務局)は申請者の申請内容が日本の「国益」や「国籍法」をもとに許可・不許可の判断がされるので、条件を満たしているか満たしていないかを中心とした質問になります。
当所では、それぞれ申請者の方々の個別的、特徴的な状況を全て把握しているために、それらに対する各質問の趣旨について、現認している部分や、質問・狙いについて当所のデーターをまとめました。その結果多種多様な質問や、確認の方法がありましたが、それらの質問の趣旨は申請書類の内容を理解し頭の中を整理することが、正確な受け答えを可能にし意思疎通能力の高さを示すこととなり、担当事務官(面接官)の心証(与える印象)を良くすることにつながることになります。
入国(渡日)から現在までの経緯
先ず、国籍法 第五条 第一項『引き続き五年以上日本に住所を有すること』の経緯や経歴を確認するために行われる質問で日本に入国してから現在までの在留歴全般と、申請者の特定のための基礎となる母国での出生地の確認、母国での経歴等の確認が行われます。
【質問内容】
事務官が、申請者の履歴書を確認しながらの質問になりますので、それを元に確認のための質問をしていきます。
Check Point!
- ☆出生地はどこか?
- ☆渡日した大きな動機(きっかけ・理由)
- ☆来日から現在までの経緯(居住歴 職歴 バイト歴 学歴 婚姻歴)
- ☆引っ越し移転予定(マンション→戸建)等
※婚姻歴については、知り合ったきっかけ、交際期間、結婚を決断した理由、などが婚姻ごとに聞かれます。
など
申請確認資料
- ・帰化許可申請書、履歴書(その1)
- ・最終学歴卒業証書(大学を卒業している場合には、学部、何を専攻したのかなどを確認されます。
- ・土地建物登記事項、賃貸借契約書
- ・出生届記載事項証明書(子供)
- ・出生証明書(本国・申請人)
家族・婚約者について
次に、国籍法 第五条 第四項『自己又は生計を一つにする配偶者その他の親族の資産又は技能によって生計を営むことができること』にかかる配偶者・家族・親族の概要を確認すると共に日本国との結びつき状況の把握するため親族に関する質問が行われます。
質問内容
それぞれの親や、義父、義母、兄弟姉妹がどこで何をしているか、分かる範囲で答えられるようにしておきます。
Check Point!
- ☆両親の賛成、反対 それぞれの場合の理由
- ☆在留中の兄弟姉妹の帰化状況(予定・希望)
- ☆在留中の兄弟姉妹の婚姻状況 配偶者の国籍、仕事、子供の有無
- ☆各同居者の有無、年齢、続柄等
など
申請確認資料
- ・親族の概要(日本)(外国)
- ・婚姻関係の証明書
- ・婚姻届記載事項証明書
- ・出生証明書(兄弟姉妹等)
健康状態
国籍法 第五条 第二項『二十歳以上で本国法によって行為能力を有すること』の確認のため心身の健康状態について質問がされる場合があります。
質問内容
最近の体調や、以前からの持病、入院歴、通院歴、病名なども覚えている範囲で答えられるようにしておきましょう。
Check Point!
- ☆心身の大きな病気(うつ病・統合失調症)などの精神疾患、怪我歴、現状の確認
など
違法行為、不法行為、犯罪、その他関与等
主に、国籍法 第五条 第三項『素行が善良であること』及び同第六項『日本国憲法執行の日以降において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て、若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入してことがないこと』を確認する内容の質問がされます。
質問内容
これらの質問は正直に話すこと。うそをついたり隠してたりすれば後で自分が苦しむことになります。
Check Point!
- ☆警察に係わった事件の有無及びその内容
- ☆交通違反歴(最新)
- ☆銀行口座からの出入歴など(多額支出、入金の理由、相手先)
- ☆これまでに交通違反をはじめとする法違反を行ってしまったことがあるからは当時を振り返り、その違反行為について現在は、どのように感じていて、その後はどの様な点に気を付けて暮らしているか。又は、暮らしていこうと思っているか(反省度合いと更正の様子を改めて確認する趣旨)
など
申請確認資料
- ・履歴書(その2)
- ・預金通帳の写し
- ・預金残高証明書
- ・運転記録証明書
仕事内容
主に、国籍法 第五条 第三項『素行が善良であること』、第六項『日本国憲法執行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で・・・』及び同第四項『自己又は生計を一つにする配偶者その他の親族の資産又は技能によって生計を営むことができること』を確認するための質問がされます。
仕事については、申告している内容で本当にその会社で働いているのか?をはじめとし、出入国管理法の就労制限等(とくに、家族・妻や夫・子供など)、在留資格に沿った適正な就業履歴であるか否かの確認として会社名、業界、業種、サービス内容、担当業務内容などの確認と反社会的な営利活動や違法な風俗業界での就労などに携わっていないかが、確認されます。
また、会社以外からの報酬を得ている場合は、どんな業界のどんな内容の業務を行っているか、組織に所属しているか、個人として行っているのか、法律に触れる行為は行っていないか等、様々な角度の質問から確認が行われます。
質問内容
ここでは、かなり突っ込んだ質問や詳しい仕事内容の具体的な説明や、職場での申請者自身の役割など様々なことが聞かれます。
Check Point!
- ☆職業経歴、アルバイト経歴、就職歴
- ☆各会社名、業種
- ☆給料の額
- ☆それぞれ具体的な仕事内容
(1日の流れ、どんな作業、どんな相手先、業務ノウハウ、失敗・成功談など実際に仕事に携わっていないと答えられない内容の質問がされます。) - ☆職場の人員構成、平均年齢、人間関係、それぞれの方の担当業務
- ☆各通勤時間、一ヶ月の定期代など
- ☆転職予定
など
申請確認資料
- 履歴書(その1)
- ・勤務先事業所付近の略図
- ・在勤及び給与証明書
- ・法人登録事項証明書
- ・源泉徴収票
- ・技能及び資格証明書
- ・健康保険証(社会保険)
婚姻について
主に、国籍法 第五条 第三項『素行が善良であること』、同第四項『自己又は生計を一つにする配偶者その他の親族の資産又は技能によって生計を営むことができること』を確認するための質問がされます。いわゆる偽装結婚ではないか、配偶者は真面目な人物であるかといった観点からの質問がされます。
質問内容
いつ、どこで、出会った(離別した)か、いきさつは、付き合うきっかけは?など記憶を整理しておくと良いでしょう。
Check Point!
- ☆職業経歴、アルバイト経歴、就職歴
- ☆配偶者と知り合った時期・場所
- ☆配偶者と付き合い始めたきっかけ、及び交際期間
- ☆配偶者も外国籍の場合は、帰化意思の有無
- ☆配偶者の会社名、仕事内容、就業場所
- ☆配偶者の給与額
など
申請確認資料
- ・履歴書(その1)
- ・母国での婚姻関係の証明書
- ・日本国での婚姻届記載事項証明書
年金保険料・各種税金の支払い状況について
既に提出している資料及び追加提出資料で確認されるため面接時に口頭による具体的な質問は、殆どありません。ただし非常に重要な点ですから申請受付の時点では納付していても、申請後に未納となった場合に不許可となります。
質問内容
Check Point!
- ☆住民税課税証明書
- ☆法人税、事業税、消費税の納税証明書
- ☆確定申告書、決算書の写し(申請後、新たに期限到来の場合、追加提出となる。)
- ☆申請日以降から現在までの国民年金の領収書
- ☆申請受付日以降の国民年金保険料の領収書
- ☆配偶者が事業主(個人事業主)の場合、厚生年金、国民年金の納付記録
- ☆母国の両親等親族を扶養に入れている場合、当時の送金記録の証明書
など
申請確認資料
- ・申請時に提出した各種証明書関係の資料
日本語能力テスト
審査面接終了後あるいは面接途中で、日本語能力テストがあります。テストの内容は日本語の読み書き、小学2~3年レベルで、出題問題数は20~40問ですが、意外に難しい内容です。又、出題された問題が60%~70%程度出来ないと帰化申請は不許可(親子で申請した場合、親が日本語の読み書きが出来ない場合、当然子供も不許可になる。)になります。
帰化申請時の日本語テストの解説
帰化が許可される条件として、
(1)日本語が読める事。
(2)日本語が書ける事。
先ず、この(1)(2)は必須条件となります。
その理由は、日本国民になるのだから当然日本語を読める、書けるという事が条件になるのは当たり前の事ですが、それ以上に大きな理由があります。
帰化申請者が帰化を許可されるという事は、すなわち、日本国民としての権利が付与(与えられる。)されます。したがって、権利にはとうぜん表裏一体として、義務が発生します。
その義務とは、帰化した日本国民は当然の義務として日本国の将来をうらなう(決める。)あるいは日本国の将来を託す(まかせる。)、政治家を選択する選挙に行くことが義務となります。
しかし、選挙に行っても
(1)政治家の名前が読めない
(2)政治家の名前が書けない
では日本国すなわち、法務省はあなたに日本国民としての権利を付与しても義務を履行(選挙に行かない。)しないだろう。という事で法務局の段階で不受理(受け付けない。)もしくは法務省に進達されても法務局担当者から意見書(この申請者は日本語能力がない。)が付けられて帰化申請が不許可になる事が明らかです。
引用:総務省HP(なるほど!選挙:投票ページ)
https://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/naruhodo/naruhodo04.html
【選挙の解説】
日本国の選挙は、日本国民の場合住民登録している市区町村から投票に関する入場整理券が投票日の数日前に自宅に届きます。そして、指定されている選挙当日に入場整理券を持参します。そして、
- (1)市区町村の議員選挙
- (2)市区町村の首長選挙 例(千代田区長選挙:横浜市長選挙)
- (3)都道府県の議員選挙
- (4)都道府県の首長選挙 例(東京都知事選挙:北海道知事選挙)
- (5)国会議員選挙
の約5種類の選挙があり、年に1回又は数回日本国民として投票する事になります。
したがって、日本語能力は国籍法に名文の規定はありませんが、法務省の内部規定によって帰化申請者を管轄する各法務局に日本語能力の点検(試験)をするように委ねて(まかせて)います。では、どのような手続きのなかで日本語能力が点検(チェック)されるのかを解説していきます。
法務局における日本語能力のチェックポイント
(Ⅰ)法務局の初回相談時
まず、帰化申請をする場合、必ず住所を管轄する法務局(支局)に予約を取って帰化申請者が出頭しますが、その際に帰化申請者が単独で法務局に出頭し相談した場合、かなりの確率で日本語のテストがされる場合があります。
但し、日本生まれの外国人(特別永住者など)やその当日相談を担当した事務官との質問のやりとりで日本語が流暢(すらすら話して言葉づかいによどみがなくなめらかな場合。)な場合には日本語のテストは省略されます。
しかし、日本語が流暢ではなく日本語が円滑に話をできない場合には一定の確律で日本語テストがされ、その結果については全て記録が残ります。したがって、安易に相談に行った場合にいきなりテストがされる場合があるので注意が必要です。
つぎに、行政書士などの専門家に最初から依頼した場合には初回相談がなくなるので、当然テストもありません。
しかし、さいたま地方法務局や宇都宮地方法務局など2回出頭しないと帰化申請を受けつけない法務局は、その一回目の申請点検の場合に日本語が流暢でないと受付をする事務官が判断した場合には、日本語のテストをされる場合があります。この場合もテストの結果については記録が残されます。
(Ⅱ)帰化申請時
行政書士などの専門家に依頼した場合には、帰化申請時に帰化申請者は法務局に初めて出頭するので、各法務局によっても異なり(違う)ますが帰化申請時に行政書士などの専門家と一緒に出頭しても、帰化申請者だけ先に個別の面談室に呼ばれ話を聞かれる場合があります。
内容については、家族構成やパスポートをチェックしながら渡日時から現在の在留状況及び手取り年収など詳細に聞かれます。
この際に、日本語が流暢ではない場合には日本語能力に疑義(ぎもんをもたれる。)があった場合に、小テスト(通常の問題の半分くらいの量)が突然行われます。しかし、この場合も本テストではないので帰化審査の決定的な判断材料にはなりませんが、受付の事務官から担当事務官に連絡事項としてその結果が引き継がれます。
(Ⅲ)帰化動機書
帰化申請提出書類の一部に「帰化動機書」という書類があります。
この動機書は、なぜ、帰化して日本国民になりたいか?という内容をA4用紙(18行程度)に自筆で記載する事になります。
当然受付する際の事務官もその文章のチェックをして最後に、 「この文章はあなたが自筆で記載しましたか?」 と確認がされます。
そして、実際の担当者になる事務官に引き継がれ法務省に進達される事になるわけですから、
(1)本文の内容・文章構成
(2)字体の出来・不出来
が帰化審査の対象の一部になります。
(Ⅳ)宣誓書
帰化申請時に全ての書類の点検が終わり帰化申請に必要な書類が具備(すべてそろっている。)している場合には、最後に「宣誓書」という
「日本国民になったら法令を遵守し善良な国民になる。」
文章を受け付けする担当事務官の前で声を出して読み上げる事を行います。この際にも、きちんと文章を理解しているか?文章を読めるか?という事がチェックされます。
(Ⅴ)審査面接時
全国の法務局によって異なりますが、帰化申請の受付から東京法務局(本局)など大変混みあっている法務局だと申請受付から約4カ月前後かかります。また、混み合っていない地方法務局などは申請受付から1~2か月で審査面接があります。
この場合、独身で単独申請だと約1時間30分程度の面接時間で約1時間が審査面接で20分~30分くらいが日本語能力テストになります。
又、夫婦の場合には、夫婦で同時に帰化申請するかいなかにかかわらず、先ず、夫婦の一方が呼ばれ具体的な内容が聞かれ、次に、もう一方が呼ばれ具体的な同様の内容や違った側面の内容が聞かれます。
その面接が終わると、一方の夫婦あるいは両方が別々に日本語能力テストが行なわれます。夫婦の場合であってもテストの時間は一人20分くらいです。
日本語能力テストの内容
実際に行われる日本語能力テストはどの程度のものなのか、実例を参考にしていきながら解説していきます。
先ず、日本語能力テスト内容は各法務局全国一律ではありません。したがって、各法務局(各支局)が独自に問題を作成しています。よって、カタカナとひらがなの変換問題(10問前後)と文章問題(5問~10問)などで構成されています。
問題の内容は、日本語能力試験(NI)でいう文章理解(語彙能力)を試すような高度のレベルではなく、日本語能力試験(NI~N5)でいえばN3レベルですが、問題によってはN2ぐらいあるかもしれません。
しかし、渡日して帰化を申請している方は日本語学校に1年6カ月~2年程度通学し、その後大学や専門学校に行き日本で就職していて10年程度しか経過していない方についてはあまり問題ありませんが、日本語学校の卒業から20年以上が経過していたり、身分系(日本人の配偶者・永住者の配偶者)の在留資格で日本語学校などを経由していない方は難しく感じるかもしれません。
特に中華系(中国・香港・台湾)の方の場合でも一定の年齢(45歳~50歳以上)の方の場合、カタカナとひらがなの変換が半分以上できない方も多くみられます。
したがって、普段仕事をしていない方はもちろん、仕事をしていても現在はパソコンやスマホなどで手入力するため鉛筆やシャープペンシルなどで書く事をしない、つまり、アウトプットを全てキーボードやタッチパネルでしているため、いざ法務局の日本語能力テストになった場合、担当事務官が目の前で最初から最後まで見ているため必要以上に緊張し、普段まったく使わない鉛筆で解答を記入するため、さらに緊張して全く書けないという場合もあるのです。
日本語能力テストに出題されるテストの例は、
こちらの記事「帰化日本語能力」を参考にしてみてください。
※当法人では、日本語能力テストの対策・指導を行っています。
自宅訪問
審査面接終了後、当日あるいは後日に自宅訪問があります。面接者全てが自宅訪問を受けるわけではありませんが、国籍法第五条第一項<引き続き5年以上日本に住所を有すること«帰化とは»>を満たしたばかりの普通外国人の方が自宅訪問を受けることになります。さらに当所のデータによると、日本人配偶者や親族に永住者など日本人や日本とのかかわり合いが全くない独身者が自宅訪問を受ける確率が高くなります。
審査面接後に自宅訪問を告げられてもいいように、帰化申請後は自宅の整理整頓を心がけるようにしたほうが賢明(けんめい)です。
又、原則特別永住者(在日)の方は自宅訪問の面談および近隣の聞き取り調査は表面的にはありません。
しかし、特別永住者の方でも実際法務省民事局に審査が上がった場合には、実際自宅が存在しているか、生活実態があるのかなどの内偵は極秘裏に行われていると思った方がいいでしょう。さらに申請書及び履歴に齟齬(食い違い)があり、疑問点が多い場合には、それらを点検調査する為の家庭訪問や従前の住所地等が訪問調査されることは充分予想されます。
職場調査
サラリーマン(給与所得者)の場合
サラリーマン(給与所得者)は、勤務先の上司には必ず連絡があります。具体的に説明すると、普段の勤務態度や社内での役割や社員間でのコミュニケーションなど多岐にわたります。
経営者(事業所得者)の場合
他方、会社を経営している方(事業所得者)の場合には、取引先など詳細な聞き取り調査があります。基本的には電話連絡ですが、取引内容が複雑だったり、申請人本人に対するインタビュー時に取引内容が明確に答えられなかった場合などは直接取引先に出向いて聞き取り調査を行う場合があります
職場調査の時期については、目安として面接と同時期と考えられます。しかし担当事務官(調査官)によっては申請後早い段階で連絡がある場合、又は面接後しばらくしてから連絡や調査がある場合がありますので時期の決まりはありません。
又、特別永住者(在日)の方の場合には、ほぼ日本人と変わらぬ生活をしてきたので、職場や取引先には国籍を伏せている場合が多いので、法務局(当局)としては一定の配慮がされますが、勤務実態に懸念がある場合や、経営実態に疑義(取引先との内容がはっきりしない場合や疑わしい場合など。)がある場合には、特別永住者であっても必ず聞き取り調査があるので注意が必要です。
さらに、特別永住者以外(永住者・定住者・日本人の配偶者・人文知識国際業務等)の方の申請は、必ず職場への調査、取引先の聞き取りで実際に取引先に訪問される場合もあるので準備が必要です。
帰化について分からない場合
帰化とは何か?帰化についての基礎知識は、帰化とは?永住との違いを解説!を参考にしてみてください。