「帰化」とは?永住との違いを解説!
帰化とは、すなわち「他国に国籍を移すこと」です。
第一条(目的) 日本国民たる要件は、この法律の定めるところによる。
国籍法第1条【目的】の解説
先ず、国籍法(こくせきほう)は、日本国憲法第10条の委任に基づき、日本国民(日本国籍の所有者)の要件を定めるために制定された日本の法律である。(法令番号:昭和25年法律第147号。)1950年(昭和25年)5月4日に公布(官報で公表)、同年7月1日に施行された。新たな法律の制定に、(旧)国籍法(明治32年法律第66号)は撤廃されました。本則は第1条から第20条で構成される。
次に、「日本国民」とは何かを定めたのが、この法律です。以下条文記述のとおり、「出生」「準正」「帰化」によって「日本国民」となります。
本条文の意義(意味)は、「日本国民」と「日本人」は別の概念だということです。帰化するということは「日本国民」になるということで、「日本人」になるわけではありません。
第二条(出生による国籍の取得) 子は、次の場合には、日本国民とする。
一 出生の時に父又は母が日本国民であるとき。
生まれた時に国籍取得(ただし出生により外国の国籍を取得した日本国民で国外で生まれた者は国籍留保届【出生後3か月以内に提出】を提出しなかったときは遡及(さかのぼって)して国籍を喪失する(再取得制度。)
【解説】
父のみが日本国民である場合は、父母が法律婚をしている場合か、父が胎児認知(出生前に認知)をすることを要する。出生後に認知をした場合については第3条が適用される。
両親のどちらかが日本国民なら、その子は日本国民です。これを血統主義と言います。これに対してアメリカのように両親の国籍に関わらず、アメリカで生まれたらアメリカ国民になる国を生地主義と言います。また、同じ血統主義でも以前の日本は父系血統主義でしたので、母親が日本国民でも、父親が日本国民でない場合、その子供は日本国民とはなりませんでした。
第二条(出生による国籍の取得) 子は、次の場合には、日本国民とする。
二 出生前に死亡した父が死亡の時に日本国民であったとき。
解説
出生時に亡くなっていても父が日本国民なら、その子は日本国民です。
第二条(出生による国籍の取得) 子は、次の場合には、日本国民とする。
三 日本で生まれた場合において、父母ともに知れないとき、又は国籍を有しないとき。
解説
日本で出生したあらゆる外国籍の子が無国籍者となることを防ぐためです。
昭和59年12月までは父系主義が採られ、外国人父と日本人母の間に生まれた子には日本国籍が与えられませんでした。したがって、無国籍児が多発し社会問題化して現行法律に改正が行われ、昭和60年1月1日から施行された。第3項についても無国籍者を排除するための措置であるが、父母いずれの国籍も継承できない場合には無国籍となってしまう問題が残されている。
(たとえば、子供がアイルランド国外で生まれたため、同国の国籍法に基づいて自国籍を子どもに継がせられないアイルランド人の父親と、父系主義のため母親は子どもに自らの国籍を継がせられないシリア人の母親との間に日本で生まれた子どもは、アイルランド、シリア、日本のいずれの国籍も取得できない。
また、同じくアイルランド国外生まれのために国籍を子どもに継がせられないアイルランド人の女性が日本人男性との間で婚外子を日本で出産したものの、父親による認知がない場合、子どもは日本とアイルランドのいずれの国籍も取得できない)。この問題を解決するためには、第3項の規定を「日本で生まれた場合において、父母いずれの国籍も継承できないとき」と改正する必然性があった。
【経過措置】として、昭和40年1月1日から昭和59年12月31日までに外国人父と日本人母の間に生まれた子で、母が現に日本人、または母の死亡時に日本人であるときは、施行日から3年以内に法務大臣に届け出ることにより日本国籍を取得することができるとされた。
解説
結婚している夫婦の間の子どもを摘出子と言います。結婚していない男女間に生まれた子どもを非摘出子と言います。出産時には結婚していなかった男女が、出産後結婚すると「非摘出子」が「摘出子」になります。これを準正(後行で結婚している夫婦の間の子どもになる。)と言います。
結婚していない日本人男性と外国人女性の間に子どもが生まれた場合、胎児認知してあればその子は「日本人の子」として生まれてきましたので、日本国籍を取得します。しかし、誕生後、認知した場合は、その子は誕生時には「日本人の子」ではありませんから。日本国籍は取得できません。しかし、その両親が結婚すると、準正により、その子は摘出子となり、届けをすることで日本国籍を取得することができます。
【解説】認知された子の国籍取得 【平成20年成立:平成21年1月1日施行の改正】
2008年(平成20年)12月31日まで本条による国籍取得は、父の認知に加え、父母の婚姻をも要件としていた。このことについて、出生後に父母が法律婚をして婚姻準正された子には日本国籍が認められることと比較して、準正を受けない子が日本国籍を取得できないのは法の下の平等に反するとして、本規定の合憲性につき裁判で争われたが、2008年(平成20年)6月4日最高裁判所大法廷は本規定が憲法第14条に違反するとして、日本国籍を認めなかった2審判決を破棄し、準正を受けない子の日本国籍取得を認めた。
これにより、日本人父と外国人母の子で生前認知を受けていない子が日本国籍を取得する方法は、父母の婚姻の有無にかかわらず父の認知を受けるか、あるいは強制認知の確定判決を得て法務局で法務大臣宛てに国籍取得届を提出する方法により、日本国籍を取得することが可能となる。この場合、国によっては国籍取得届の提出とともに外国籍を自動喪失する場合があるので細心の注意が肝要である。
【経過措置】
2009年(平成21年)1月1日以降、認知された子について、父母の婚姻要件が外されることに伴う経過措置は以下のようになっている。
- ■1983年(昭和58年)1月2日以後に出生し、出生時及び届出時(死亡している場合は死亡時)に父が日本人であり、18歳に達する前に認知された者(ただし、以下の要件に該当するものを除く) 2011年(平成23年)12月31日まで届出をすることにより届出時に国籍取得
- ■1985年(昭和60年)1月1日から2002年(平成14年)3月31日まで国籍取得届を提出したが父母が婚姻していないため日本国籍を取得できない者 2009年(平成21年)1月1日から2011年(平成23年)12月31日まで国籍取得届を提出することで新たな届出をした時に国籍取得✩ 上記の子で父又は母が最初の届出をしてから新たな届出をする前の間に生まれた子2009年(平成21年)1月1日から2011年(平成23年)12月31日まで国籍取得届を提出することで届出をした時に国籍取得する。
- ■2003年(平成15年)1月1日から2008年(平成20年)6月4日まで国籍取得届を提出したが父母が婚姻していないため日本国籍を取得できない者 2009年(平成21年)1月1日から2011年(平成23年)12月31日まで国籍取得届を提出することで最初の届出をした時に国籍取得
- ■2008年(平成20年)6月5日から2008年(平成20年)12月31日まで国籍取得届を提出したが父母が婚姻していないため日本国籍を取得できない者 2008年 (平成20年)12月31日まで国籍取得の反対の意思を表示しない限り国籍取得届を 提出した日に国籍取得
- なお、上記の届出をしようとする者が天災その他その責めに帰することができない事由によって上記の期間内に届け出ることができないときは、その届出の期間は、これをすることができるに至った時から3ヶ月とする。
第三条(準正による国籍の取得)
二 前項の規定による届出をした者は、その届出の時に日本国籍を取得する。
第四条 日本国民でないもの(以下、外国人という)は、帰化によって日本の国籍を取得することができる。
二 帰化をするには、法務大臣の許可を得なければならない。
入国・在留一般の申請は法務省入国管理局に対して行いますが、これに対し帰化申請は、法務省法務局に対して行います。
帰化と帰化許可申請
この、国籍を捨て他国の国籍を得ることを「帰化」と言い、願い出ることを「帰化許可申請」と言います。帰化許可申請は、帰化意思のある外国人が直接であれ間接であれ自ら法務局で行います。帰化が許可になる確率は帰化要件(帰化要件・帰化許可の確率参照)が備わっていれば確率は当然高くなります。
帰化と永住の比較
帰化も永住も、期間の定め無く日本に住み続けることができる、という点では同じですが、もちろん両者の法的性質は全く異なります。
帰化という手続きは、根拠法を国籍法に
在留資格である「永住者」が許可される根拠法は出入国管理及び難民認定法に
それぞれ求められています。
法務省(国籍法ページ)へ
出入国管理及び難民認定法(e-govページへ)
ここでは、帰化と永住の違いについてみてみましょう。
帰化と永住の違い | 帰化 | 永住 |
根拠法 | 国籍法 | 出入国管理及び難民認定法 |
申請先 | 法務局 | 出入国在留管理局 |
審査期間(申請〜許可) | (平均)8ヶ月〜2年 | 2ヶ月〜8ヶ月 |
申請要件「最長の在留期間をもって在留しているもの」 | なし | 3年 入管法(施行規則別表第2) |
居住要件(原則)
帰化の場合は解説の図を参照 |
継続して5年居住が必要
(その中で、就労が3年) |
継続して10年居住が必要
(その中で、就労が5年) |
能力要件 | 18歳以上で本国法で行為能力を有すること ※但し、緩和規定あり |
なし |
素行要件 | ○善良であること
・年金の支払い ・交通違反 ・納税義務 |
○善良であること(こちらの方が帰化よりも厳しく審査される)
・年金の支払い ・交通違反 ・納税義務 |
生計要件 | ○独立して生計を営むことができること | ○独立して生計を営むことができること |
思想要件 | ○あり
・テロなどの破壊活動など 危険思想を持っていないか |
▲なし
国益適合要件として 審査される可能性あり |
日本語能力要件 | ○あり | ×なし |
国籍 | 日本国籍となり、
母国の国籍を喪失する |
本国の国籍のまま |
日本国パスポート | ○あり | ×なし |
戸籍 | ○届出により取得する | ×なし |
氏名変更 | 1)日本の氏名に変更 2)従前本国の氏名継続可能 ※但し、一部制約あり |
本国氏名のまま |
選挙権・被選挙権 | ○あり | ×なし |
在留期限 | ×なし | ×なし |
在留更新 | ×なし | ○あり(7年ごと) |
外国人登録 | ×なし | ○あり |
再入国手続き | ×なし | ○あり |
強制退去処分 | ×なし | ○あり |
職業の制限 | ×なし | ×なし |
年金加入義務 | ○あり | ○あり |
銀行の取引(ローンなど) | ○受けやすい | ○受けやすい |
帰化のメリット
帰化は国籍を日本にすることですから、日本において日本人としての生活が可能になります。
以下、帰化することのメリットをあげてみました。
- 日本の社会保障の傘の下での保障を受けられる
- 選挙権・被選挙権を得られる(参政権)
- 日本のパスポートを持てる(日本のパスポートは世界有数の信用があると言われています)
- 金融機関との取引に有利(日本人であれば、ローンや資金調達などの融資を引きやすくなると言われています)
- 煩雑な在留資格更新などの手続きから解放される(期間、ビザなどの更新は書類など含め煩雑。かつ、不許可になる不安がつきまとう)
その他、日本の戸籍になる、名前が日本名になる、などもメリットとしてあげられます。
永住とは
出入国管理及び難民認定法第22条では永住許可と呼ばれ、これは在留資格を有する外国人が永住者への在留資格の変更を希望する場合に、法務大臣が与える許可を指します。
帰化との大きな違いは国籍が変更されないこと。(「外国人」のまま)
そのため、日本国内において日本人のみに与えられているとされる権利(被選挙権、警察、役所など、公的機関への就職)がありません。
特別に、自治体と密接な関係を持つに至った外国人については、一部選挙権や公務員としての就職(現業)が認められる場合があります。
上記のように、永住は外国人のまま、帰化は現在の国籍を放棄し、日本国籍になることが一番大きな違いです。
もちろん、永住、帰化それぞれにメリット、デメリットがあります。メリットデメリットを理解した上で、最良の選択をしましょう。
帰化の要件
第五条 法務大臣は、次の条件を備える外国人でなければ、その帰化を許可することができない。
一 引き続き五年以上日本に住所を有すること。
居住要件:帰化申請の要件
(Ⅰ)引き続き5年以上日本に住所を有すること
国籍法第5条【一般外国人の帰化】居住要件(きょじゅうようけん)の解説
この条文は一般的な外国人の方が、外国から日本に渡日し、帰化する人が日本人とのかかわり(たとえばあなたの両親・夫・妻が日本人など)がまったくない場合をいいます。
したがって、この条文の帰化の方法は居住要件(引き続き5年以上日本に住所を有すること。)が、かかわってきます。つまり、引き続き5年とは日本に5年続けて住んでいればいい訳ではありません。
図で解説します。
(例1)
上の例のように、続けて5年以上の中には就労(技術・人文知識・国際業務:経営管理:技能)の在留資格(ざいりゅうしかく)を得てから3年以上の在留期間が必要になります。
続けて5年以上、の中で、最低3年は働いていてくださいね、ということです。(就労:しゅうろうの在留資格が必要です)
つまり、(A)の場合でいうと、
計6年間の在留期間がなければ、居住要件の5年を満たすことはできません。
では、下の図に引き続き(5年)の条件を満たす場合と満たさない場合の違いを説明します。
他の項目の要件の説明は、日本国籍取得(帰化)の要件に説明があります。
引き続き5年日本に住むとは、5年間の間の途中で日本から外国(本国・自国を含む。)に出国した場合に条件を満たさなくなる場合があるので注意が必要です。それでは、下の図で条件を満たす場合と満たさない場合の例を説明します。
(例2)
したがって、(E)(F)の場合は、原則
(1)本国・自国での出産
(2)会社の命令による外国への出張
(3)その他の事情
(1)~(3)いずれの場合も条件を満たさなくなり(日本にいなかったことになる。)、一旦リセットになります。つまり、(E)(F)の場合でいうと
在留(ざいりゅう)期間(きかん)が、たとえ3年を超えていても5年に満たない期間に長期(1年間のうち、合計で120日以上)出国した場合、
又は一回の出国が連続90日(3ヶ月)以上超えた場合には(G)のように日本に再渡(さいと)日(にち)した日から、あらたに5年を経過(けいか)(日本に5年以上居住)しないと居住要件の5年を満たすことはできません。
ただし、これは原則ですのでケースバイケースで例外(れいがい)があることもあります。これらの説明に当てはまりご不安な方は当所無料相談予約フォームよりご相談ください。
能力要件:帰化申請の要件
第五条 法務大臣は、次の条件を備える外国人でなければ、その帰化を許可することができない。
二 二十歳以上で本国法によつて行為能力を有すること。
本国法成年年齢(各国、国別による)と、日本の法律で両方とも18歳以上を超えていることが必要です。
(親と同時に帰化する場合には要件が緩和されることがあります。)
すなわち、本国の成年年齢を超えていることを証明する書類が必要になります。
諸外国における成年年齢は下記のとおりです。
したがって、母国の大使館などで証明を取ってくる必要があります。
素行要件:帰化申請の要件
第五条 法務大臣は、次の条件を備える外国人でなければ、その帰化を許可することができない。
三 素行が善良であること。
まず、帰化をする以上、日本で真面目に生活できる人物たるかどうか、という判断基準です。
次に素行が悪いものに、法務大臣(日本国)は帰化を許可することはできません。また、その裁量の範囲は広範囲(とても広い)に及びます。
素行要件の基準となるものの大まかな事例を下記に列挙します。
【前科・犯罪履歴】
前科及び犯罪履歴は、許可の判断をする上で大きな基準となります。犯罪の軽重によって経過年数も大きく異なりますので、ご相談下さい。
【出入国管理及び難民認定法】違反
Ⅰ.不法入国
不法入国には下記(イ)(ロ)2つのパターンがあります。
(イ)偽造パスポート・在留カードによる不法入国
この場合は重犯罪にあたるので、帰化申請自体が非常に難しいと思料されます。
(ロ)正規パスポート・在留認定許可後(例:技術、人文知識、国際業務)、その就職先に就職しないで、その在留カードで日本に入国を繰り返していた場合
この事案についても立派な入管法違反となりますので、犯罪の軽重により経過年数も異なりますのでご相談ください。
なお、本違反については、家族、本人状況により勤務先それぞれの悔悛(反省)状況を示す「上申書」を添付することが必要不可欠となります。
Ⅱ.不法滞在(オーバーステイ)
オーバーステイについても状況により、帰化申請を控える経過年数が異なります。
(イ)在留特別許可
10年以上の経過が必要
(ロ)(イ)以外の軽微な場合
状況により経過年数も異なるのでご相談ください。
なお、本違反についても、家族、本人状況により勤務先それぞれの悔悛(反省)状況を示す「上申書」を添付することが必要不可欠となります。
【破産歴】
破産に到った経緯にもよりますが、悪質な場合を除き免責決定を受けてから2年程度経過していれば受け付けてくれることが多いです。
【重加算税】
脱税などで重加算税を課せられることがありますが、改めて修正申告をした上で納税をし、その後、一定の期間(3年前後)経過後に申請受理される場合があります。但し、脱税の額、内容にもよりますので、ご相談下さい。
【運転履歴】
素行要件で帰化申請する方の1番該当の多いのがこの運転履歴です。
違反の頻度・時期、行政処分の回数などにより総合的に判断されます。交通違反の回数や内容に関して不安のある方はご相談下さい。
【交通事故】
直近で交通事故を起こした方は、(事故の内容にもよりますが、軽微なものであれば申請が可能な場合もあります。)出来るだけ速やかに民事上の示談(申請後も含む)を結了させて下さい。
【納税状況】
過去1~2年の所得税・住民税が滞納されている場合には、申請前には必ず完納して下さい。
この完納は必須要件ですので早めに完納しましょう。
会社員の方で給与から天引きになっている方は問題ないと思われますが、給与から引き落とされていない方、その業種、個人で確定申告などしている場合は注意が必要です。
また、会社経営者の方や、会社を経営している親族の収入で生活を維持されている方は、その会社の過去2~3年分の法人税・法人都(県)民税・法人区(市)民税・法人事業税などが完納になっているかどうかが密接に関係してきますので確認することが重要です。
さらに、この項目は同居されている方全員についても密接に関係してきますので照合・点検が必要になります。
【年金支払状況】
以前は年金の支払い状況が審査の対象になることはほとんどありませんでした。しかし、平成24年7月の外国人登録制度改正によって、原則として審査対象になりました。
給与所得者の方は、給料から厚生年金が控除されていれば問題はありませんが、控除されていない方は国民年金を支払う必要があります。なお、全く支払がされていない場合には、先ず、直近1年分を全て支払い、納付書を提出する必要があります。
会社経営者の方は、厚生年金の強制適応事業所に該当しますから厚生年金保険に直ちに加入し当該保険料を納付することが必要です。なお、加入漏れについては、①現時点から加入した保険料を納付し、②過去の未納分については直近1年分の国民年金を支払うことが必須です。
また、会社経営者の場合、自分自身や家族が厚生年金ないし国民年金に加入することはもちろんのこと、会社経営者(帰化申請人)で、働く社員も厚生年金や国民年金に加入させることは当然義務となります。
すなわち、帰化申請人である会社経営者の年金加入義務は、自身が会社経営をしている会社から、給料ないし役員報酬を得ているわけですから、帰化申請人の会社で働く従業員の加入義務は当然となるわけです。
したがって、帰化申請人が申請後に帰化申請人の会社で働く従業員が厚生年金などに未加入だったことが発覚した場合には、年金法の義務不履行により、帰化が不許可になることは避けられません。
個人の場合
国民年金の免除申請・納付猶予申請
個人の場合について、特に学生時代など国民年金保険料を納めることが、経済的に厳しいとき管轄の市区町村窓口で申請することで保険料免除や納付猶予してくれる制度があります。この申請には経済的に保険料支払いが難しいことを国に申請することになりますから、保険料の単なる未納状態と比べて、法律に則った対応として「遵法精神」の点に関しては問題がありません。
ただし、現在の年金の支払いに関する帰化の要件は「厚生・国民年金に加入しており、且つ1年以上の年金の支払いがされていること。」となります。したがって、帰化申請時以前に保険料免除や納付猶予の手続きをしていなかった場合には過去の支払状況が問われ場合によっては不許可事由になる可能性が高くなります。
日本年金機構HP→
https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/menjo/20150428.html
贈与税について
渡日以後に、本国の両親のいずれかからお金をもらう目的で直接あるいは間接的にお金を受け取った場合(マンションの購入代金なども含む。)には日本の法律により贈与税という税金を申告することになります。したがって贈与税の申告やその納付を怠っている場合には、無申告となり税法違反や無申告加算税が課税されます。
つまり、納税は憲法に定められた国民の義務(帰化申請者は渡日以後の状況が審査される。)なので義務を怠っていた場合には、帰化の不許可事由となるのです。
詳しくは→国税庁贈与税
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/zouyo.htm
【家族の素行について】
身近な親族に暴力団(反社会的勢力を含む)がいる場合には、例え住居が別で生計を分けていても状況によっては不許可になる場合がありますので注意が必要です。よって、暴力団の親族がいるのに許可申請するには、相当明白な(全く係りも、繋がりもない)証明が必要になります。
また、暴力団との係りについては素行要件だけでなく、思想要件(日本憲法遵守条件)の観点からも不許可判断をされますから、自分自身が仮に暴力団構成員であるかどうかだけでなく家族及び親族も調査対象になりますから注意が必要です。
それでは次に、具体例を下記の通り示します。
参考:家族構成の内容
次に家族構成(事実婚など)についても素行要件が大きく関わってくるので注意が必要です。
つまり、帰化申請当事者が愛人関係である当事者およびその家族は素行要件(公序良俗)に反するので、帰化申請自体をすることができません。その家族については、全く帰化申請ができない、ということではなく、その状況によって異なるので、下記に図で解説します。
【事例】
上掲事例の家族の場合、夫であるAと事実婚の愛人Bは素行要件(公序良俗)に反し、帰化申請自体をすることができません。但し、AとBの実子であるCについては、置かれる環境によって帰化申請の要件も変わることになります。
まず、Cが未成年の場合はには、A,Bが帰化申請することができない上に、未成年ですからCが単独でも帰化申請をすることができません。
次に、Cが成年に達した場合には単独で帰化申請ができますが、「学生」であった場合には生計要件で制限を受ける場合があります。最後に、Cが成年に達した上で、A,Bから完全に独立し、単独で生計要件を具備(そなえること)していた場合には、Cは単独で素行要件の制約にかかることなく帰化申請できることになります。
素行要件チェックリスト
生計要件:帰化申請の要件
第五条 法務大臣は、次の条件を備える外国人でなければ、その帰化を許可することができない。
四 自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によつて生計を営むことができること。
日本国内で、生計を営むことができるかどうか、というのも許可の要件となっています。
もちろん独力である必要はありません。(例えば配偶者の資力がある、親からの仕送りがある、多額の預貯金がある、など)
現在の資力、収入などを証明となる書類を提出する必要があります。
具体例)
(イ)預金額
会社勤務の場合には、毎月勤務先から給与が入金され、預金がある程度されていれば問題はありません。
※失業中の場合には、再就職のための休職期間中を維持する相当の預金額が必要。かつ、再就職の可能性の高い技術・スキル・経歴も審査対象となる。
(ロ)雇用形態
正社員・契約社員は問題ありません。
派遣社員の場合には、管轄法務局により、勤務期間や条件などが異なる場合があり、注意が必要です。
(ハ)転職
転職後まもない場合や、転職歴が多い場合はご相談ください。
※なお、転職した場合は就労資格証明書を取得することが必要不可欠となります。
国籍要件:帰化申請の要件
第五条 法務大臣は、次の条件を備える外国人でなければ、その帰化を許可することができない。
五 国籍を有せず、又は日本の国籍の取得によつてその国籍を失うべきこと。
日本は二重国籍を認めていないので、日本国籍を得るためには、必然的に母国の国籍を喪失することになります。
日本国の国籍取得によって自動的に国籍を失うか(母国も二重国籍を認めていない場合)、
事前に国籍喪失の手続き(二重国籍を認めているなどの国)が必要な場合があります。
生まれながらに両親の国籍が異なるなど、複数の国籍を持つ人への対応は国によって異なります。
日本国では22歳までにどちらかの国籍を選択することになっていますが、日本国には現在、約89万人の「二重国籍者」が存在していると言われています。
それでは世界各国において、「二重国籍」を認めている国と、「二重国籍を認めていない国」や生地主義(生まれた国を母国とする)や血統主義(父母の親子関係を基礎とする)を採用している国などがあり、とても複雑なので以下にまとめます。
二重国籍を認めている国:
二重国籍を認める国は、
アメリカ合衆国、カナダ、英国、アイルランド、フランス、ドイツ、スイス、ベルギー、イタリア、オーストラリア、ハンガリー、ギリシャ、サイプラス、トルコ、アイスランド、スウェーデン、デンマーク、フィンランド、イラク、シリア、エジプト、イスラエル、レバノン、セルビア、アルメニア、ソルベニア、マルタ、南アフリカ、シエラレオネ、スペイン、ポルトガル、韓国、スリランカ、バングラデシュ、パキスタン、トンガ、フィリピン、バルバドス。(許可が必要な国、二重国籍を持てる国の範囲を決めている国も含む)
その後(2019年4月1日現在、 ケニア、 ポーランド、 ルーマニア、 タイが二重国籍を認めるようになった)
二重国籍を認めていない国:代表例
二重国籍を認めない国は、
オーストリア、xポーランド、日本、中国、北朝鮮、インド、インドネシア、シンガポール、マレーシア、ミャンマ ー,ネパール、オランダ、ノルウェー、チェコ、イラン、エストニア、ラトビア、xローマニア、アゼルバイジャン、アンドーラ、ボツワナ、バーレーン、フィジー、エクアドル、パプア・ニューギニア、ブルネイ、ペルー、クウェー ト、xケニア、カザフスタン、リトアニア、ソロモン諸島、モーリシャス、アラブ連盟、xタイ、メキシコ、ベネズエラ、ジンバブエ、ビルマ、
(白 「x」を付けた国はその後、 二重国籍を認めるようになった)
思想要件:帰化申請の要件
帰化申請をした外国人が、日本国の転覆を企むようなテロリストだったらどうでしょう?
そのようなおそれのある者に帰化の許可は難しく、思想も許可の要件となっています。
国籍法条文外の帰化申請条件(帰化要件)
帰化申請書類完備条件
国籍法条文外の帰化申請条件(帰化要件)
日本語要件
一般的に10歳(小学校2~3年生)程度のレベルだと言われていますが、申請者が条件を満たしているかどうかは、慎重な見極めが必要です。
帰化要件簡易(特別)帰化(国籍法六条~八条)の解説
国籍法第5条各項が一般外国人の普通帰化(現在・過去において日本国及び日本人と戸籍法及び特別法においてかかわりがまったくない人)であるのに対して、
国籍法第六条~第八条は簡易(特別)帰化については(現在・過去において日本国及び日本人と戸籍法及び特別法において関わりがあり又は深い人)となるので、帰化の要件が緩和(かんわ:ゆるやかになる。)されることになります。
それではこれから具体的に解説と事例に置き代えて説示します。
【各条緩和一覧】
国 籍 法 | 緩和・免除要件の内容 |
---|---|
第六条 | 住所 |
第七条 | 住所・能力 |
* 第八条 | 住所・能力・生計 免除規定 |
【要件解説】
具体的な緩和内容 |
住所要件 | 引き続き5年以上日本に住所を有していなくても |
帰化を有することができる帰化申請時は現に日本に住所を有していることが要件 |
能力要件 | 成人(18歳以上)でない場合でも可能 |
生計要件 | 一般的(そんなに)収入がなくでも可能 |
【解説】
日本国民であった者(の子)とは外国籍を取得したことにより日本国籍を喪失(失った)した者、つまり元日本人(その子孫)を指します。
例えば、日系ブラジル人3世・日系ペルー人(フジモリ元ペルー大統領など)3世などです。
又、現在では非常に少なくなりましたが※中国残留孤児なども本項に該当する元日本人の子(孫)になります。
そして、元日本人の子は海外で生まれ育った時は、渡日後3年が経過することによって帰化申請の要件を満たすことになります。
※中国残留(孤児)邦人の解説
第二次世界大戦(太平戦争)末期のソ連軍侵攻と関東(日本)軍の撤退により日本へ帰国できず、中国大陸(旧満州国【現在】東北部:黒龍江省・吉林省・遼寧省)に残留した日本人と小さな子供がいる人は連れて行くのが危険なので親切な中国人に子供を育ててもらうよう頼み親だけが日本に帰国し、中国に残された子供たちを中国残留(孤児)邦人という。
具体的にはどんな場合?
ですので、「日本国民であった者」となり、自身は「日本国民であった者の子」となります。
その場合は日本に引き続き3年以上居住していれば、帰化の申請に必要な居住要件をクリアしたことになります。
【解説】
本項の前段、「日本で生まれた者で引き続き3年以上日本に住所若しくは居所を有し」は日本で生まれた外国人(特別永住者ではない。)が、
日本で生まれ海外で生まれ育った外国人は、渡日後3年が経過することによって帰化申請の要件を満たすことになります。
本項の後段、「又はその父若しくは母(養父母を除く。)が日本で生まれたもの。」とは※特別永住者(在日3世)のことを指します。>特別永住者の解説
そして、日本生まれの在日3世が海外で育ったとしても、日本帰国後住所を有すれば在日期間にかかわらず帰化申請の要件を満たすことになります。
しかし、前段・後段とも能力要件「18歳以上で本国法によって行為能力を有すること」は緩和されていないので、帰化申請は18歳以上でなければ申請要件を満たしません。
具体的にはどんな場合?
Case2:(特別永住者)在日韓国人、朝鮮人、台湾人のケースこの場合は、日本で生まれたとしても日本国籍ではありません。そして、父もしくは母も日本で生まれている場合は、3年以上日本に住所もしくは居所があれば、居住要件が緩和されることになります。
Case3:(特別永住者)在日韓国人、朝鮮人、台湾人のケース日本で生まれた韓国人がマレーシアで2年間日本から離れて就労し、かつマレーシアでインド人と結婚しその子供(インド人)が生まれ、日本に帰国して直ち(すぐ)に韓国人である本人とインド人である子供とで同時に帰化申請をすることができます。
【解説】
「10年継続して日本に居所を有する場合」就労要件(3年以上)を満たさなくても帰化申請をすることができる。
ただし、この10年間の内
(A)1年間で120日以上の出国
(B)1回で90日以上の出国の場合には、引き続き(継続)10年間
日本に居所を有したことにはならない。
具体的には(第5条1項の解説のとおりです。)以上を前提に、就労の要件(3年以上)を満たさなくても帰化申請できる事例を以下に説示します。
外国人が単独で日本に【10年】在留している場合。
引き続き10年以上日本に住んでいれば、その内の1年間就労していれば、生計要件を満たし帰化申請要件を満たすことになります。
外国人に配偶者その他の親族がいて日本に【10年】在留している場合。
(例)就労(正社員になっていない場合)要件を備えない時でも、10年以上在日していれば生計要件を満たすことになります。
*生計要件「自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によって生計を営むことができること」は必要。したがって、帰化申請者本人がアルバイト収入に加えて配偶者・両親などの経済的支援も帰化審査に加味(くわえる)されます。
具体的にはどんな場合?
Case4:日本に10年以上住んでいる外国人のケース渡日してから10年以上住み続けている外国人の場合(就労1年でクリアとなります。在日韓国人、朝鮮人の方も多いケースとなります。)ですが正規な在留資格で在留している場合です。例えば特定活動や難民申請している場合などは10年以上居所を有していても居所10年にはなりません。したがって、正規な在留資格で継続して10年以上居所を有しなければ帰化要件を満たしません。
国籍法第7条の解説
解説
先ず、本条は法律婚をした夫婦のいずれか一方が「日本」人と「外国」人との内容です。次に、本条の条文は①前段と②後段に趣旨(しゅし:いみ) が分別(わかれます)されます。
①前段:日本国民の配偶者たる外国人で引き続き三年以上日本に住所又は居所を有し、かつ、現に日本に住所を有するものについては、法務大臣は、その者が第五条第一項第一号及び第二号の条件を備えないときでも、帰化を許可することができる。
外国人配偶者が正規な在留資格で引き続き3年以上住所または居所を有して、現に住所が日本にあればいいのです。そして、婚姻期間は日本人と法律婚(結婚)をすれば(たとえば入籍から1箇月でも)帰化の要件を満たします。
②後段:日本国民の配偶者たる外国人で婚姻の日から三年を経過し、かつ、引き続き一年以上日本に住所を有するものについても、同様とする。
日本人と外国人の夫婦が海外で暮らしていても、婚姻の日(日本人と法律婚結婚))から3年が経過していれば、日本に渡日あるいは帰国してから1年が経過すれば、外国人の配偶者は帰化の要件を満たすことになります。
以下の場合は居住、能力の要件が緩和されます。
- 日本国民の配偶者たる外国人で引き続き3年以上日本に住所又は居所を有し、現在も日本に住所を有する者。
- 日本国民の配偶者の外国人で婚姻の日から3年を経過し、引き続き1年以上日本に住所を有する者。
具体的にはどんな場合?
特に、3年以上日本に住んでから日本人と結婚した場合、日本人と結婚した時点で、居住、能力の要件をクリアすることになります。
Case2:外国にいながら日本人と結婚したケース日本人と結婚したが、国外で結婚生活を送っていると、このケースに当てはまることが多いです。日本人と結婚した後海外で生活を送り、そのあと日本に来て生活を1年以上した場合がこれに当てはまります。
国籍法8条の解説
解説
本条各項に該当する方は、
住所要件【引き続き5年以上日本に住所を有していなくても】
能力要件【成人(18歳以上)でない場合でも】
生計要件【一般的(そんなに)収入がなくでも】全て免除規定になります。
それでは本項の、日本国民(の子)とは、どのような場合を指すか説明します。
つまり、
日本国民(の子)というのは、父又は母のいずれかかが日本国民であればよい。
そして、父又は母が死亡していれば、死亡の時に日本国民であればよい。
又は、
外国人の親が先行(先に)して、帰化申請をして帰化(日本人になった)した元外国人(現日本人)の子供になります。
具体的にはどんな場合?
又、両親が帰化したことにより日本人の子になったが、同時に日本国籍を選択しなかった子が後行(のち)に帰化を選択する場合。
日本国民(の子)日本人だがブラジル(生地主義)で生まれて、国籍をブラジルにしていた場合で後行(のち)に帰化を選択する場合。
解説
現に日本国民との養子縁組が継続していればよい。養親が養子縁組後に、日本国籍を取得した場合も含まれる。
つまり、
外国人同士の養子縁組でその後、養親が単独で帰化申請をして帰化(日本人になった)した場合の元外国人(日本国民)の養子の場合。
ただし、養子は縁組のときに本国法上、未成年でなければならないので成年養子は帰化申請要件を満たさない。(つまりこの条文では帰化することはできない。)
具体的にはどんな場合?
将来帰化を申請することになる子供(帰化申請人:以下「子供」という。)の中国の母親が中国人の父親と離婚し、母親が日本人と再婚しその子供を中国から日本に呼び寄せした、いわゆる(連れ子定住)、その上で子供を日本人の再婚した夫と養子縁組をし、その時子供が未成年(17歳)だった場合。
解説
「日本国籍を失った者とは、外国籍を取得したため、日本国籍を失った場合などが考えられます。出生により外国の国籍を取得した日本国民が国外で生まれた者が、国籍留保の意思表示をしなかったため、日本国籍を失った場合にも帰化申請をすることができます。ただし、その者が18歳未満で日本に住所を有するときは、「届出」のみによって日本国籍を取得することができます。
つまり、
外国籍になった日本人が、再び日本国籍に戻る手続きをする場合が本項に該当します。
又は
ドイツで生まれた日本人が、成年年齢に達した時に国籍留保の意思表示をしなかったため日本国籍を失った元日本人が帰化を希望する場合。
具体的にはどんな場合?
日本人の若手であった商社マン(以下「本人」という。)がアメリカで事業をあらたに立ち上げ成功し、その後グリーンカード(アメリカ永住権)を取得したが、後行で本人の妻にもグリーンカードを取得させるために本人がアメリカの国籍を取得した後数十年が経過し高齢となり、妻は日本人のため本人は妻とともに日本に帰国し日本で余生を送るため帰化を希望する場合。
解説
子が日本で生まれても、両親の双方又は一方が外国の国籍を有しているときは、国籍法第2条(日本で生まれた者が、父母とも知れず、又は父母とも無国籍であるときは、その子は日本国籍を取得する。)が適用されない。しかしその子の父又は母の所属国の法律により、その国の国籍を取得できないときに、未成年であっても帰化できるようにしたものです。
具体的にはどんな場面?
子の父(日本生まれ)が北朝鮮籍だがその父(子からして祖父)が北朝鮮本国に出生の登録が出来ず(無国籍)、子の母も韓国籍だがその父(子からして外祖父)が韓国本国に登録しなかった(無国籍)場合、子の父母ともにそれぞれの国籍を有しない(父母双方ともに無国籍)場合。
国籍法9条の解説
第9条 日本に特別の功労のある外国人については、法務大臣は、第5条第1項の規定にかかわらず、国会の承認を得て、その帰化を許可することができる。
解説
「大帰化」と言われているものですが、これまで実際に適用された例はありません。
国籍法10条の解説
第10条 法務大臣は、帰化を許可したときは、官報にその旨を告示しなければならない。
2 帰化は、前項の告示の日から効力を生ずる。
解説
帰化が許可されると官報に告示されます。その告示の日から日本国民となります。もし、帰化許可された人が告示の日に出産したとすると、その子は「日本人の子」となりますので、日本国籍を取得します。
国籍法11条の解説
第11条 日本国民は自己の志望によって外国の国籍を取得したときは、日本の国籍を失う。
2 外国の国籍を有する日本国民は、その外国の法令によりその国の国籍を選択したときは、日本国籍を失う。
解説
日本は二重国籍を認めていませんので、外国の国籍を取得すれば、同時に日本国籍を喪失します。
アメリカのような生地主義の国で出生し、アメリカ国籍を取得したような場合は、「自己の志望によって外国の国籍を取得」したわけではないので、国籍は喪失しません。
二重国籍になったものは一定の時期までに、国籍選択をしなければなりません。この際、外国の国籍を選択すると自動的に日本国籍を喪失します。
国籍法12条の解説
解説
アメリカのような出生地主義を取る国で出生した場合、両親が日本人であったとしても、出生と同時にアメリカ国籍を取得します。この場合、在外日本公館等に「国籍保留届」をしないと、その子は日本国籍を失ってしまいます。
「国籍保留届」は出生届にその旨記入すれば足ります。
国籍法13条の解説
第13条 外国の国籍を有する日本国民は、法務大臣に届け出ることによって、日本の国籍を離脱することができる。
2 前項の規定による届出をした者は、その届出の時に日本の国籍を失う。
解説
二重国籍の人が日本国籍を離脱することはできますが、日本国籍しか持たない者が日本国籍を離脱して無国籍になることはできません。
国籍法14条の解説
解説
日本は二重国籍を認めていませんので、二重国籍となった場合は、どちらかを選択しなければなりません。
国籍法15条の解説
解説
前条に書いた通り、日本は二重国籍を認めていないので、二重国籍になった場合は、一定の期日までに国籍を選択しなければなりません。選択をしない場合は、法務大臣は選択するように催告することができ、この催告に応えなかった場合は、もう一つの国籍を選択したものとし、日本国籍を喪失します。
国籍法16条の解説
解説
日本は二重国籍を認めていませんので、他国の国籍を選択した場合は同時に日本国籍を喪失します。しかし、国よっては二重国籍を認めている国もあれば、国籍の離脱を認めていない国もあります。そういう国の場合、日本国籍を選択しても、その国の国籍を離脱しません。実質的には二重国籍の状態が継続することになります。ただし、その場合も、「離脱の努力」はしなさいよ、ということです。
日本国籍を選択しながら、相手国の公務員になるということは、「離脱の努力」をしているとは言えませんから、それなら、日本国籍を捨てて、相手の国籍を選んでください、ということです。
国籍法17条の解説(国籍の再取得)
解説
一旦日本国籍を失っても、届出によって日本国籍の再取得ができる場合があります。
外国で生まれるなどして外国籍を取得、日本国籍に関して「国籍留保届」を出していなかった場合です。18歳になる前に一旦は外国人として日本に入り、日本に住所を有していれば、届出で国籍を再取得できます。
法務大臣の国籍選択の催告にも関わらず、国籍選択をせず、日本国籍を失った場合です。第5条第1項第5号に掲げる条件、すなわち帰化の条件を満たしていれば、帰化申請ではなく、届出によって日本国籍を得ることができます。
さらに詳しく知りたい方は「帰化申請の要件」ページも合わせてお読みください。
国籍法18条の解説(法定代理人がする届出等)
解説
国籍に関する申請・届出は本人が行うのが原則ですが、本人が15歳未満のときは、法定代理人が代わりに行ないます。
国籍法19条の解説(省令への委任)
第19条 この法律に定めるもののほか、国籍の取得及び離脱に関する手続その他この法律の施行に関し必要な事項は、法務省令で定める。
解説
実際の手続等の詳細は省令で定められます。
省令⇒国籍法施行規則
国籍法の一部を改正する法律案新旧対象条文
国籍法の一部を改正する法律案新旧対照条文
○国籍法(昭和二十五年法律第百四十七号)
(傍線部分は改正部分)
改 正 後 | 現 行 |
(認知された子の国籍の取得)
第三条 父又は母が認知した子で二十歳未満のもの(日本国民であつた者を除く。)は、認知をした父又は母が子の出生の時に日本国民であつた場合において、その父又は母が現に日本国民であるとき、又はその死亡の時に日本国民であつたときは、法務大臣に届け出ることによって、日本の国籍を取得することができる。 |
(準正による国籍の取得)
第三条 父母の婚姻及びその認知により嫡出子たる身分を取得した子で二十歳未満のもの(日本国民であつた者を除く。)は、認知をした父又は母が子の出生の時に日本国民であつた場合において、その父又は母が現に日本国民であるとき、又はその死亡の時に日本国民であつたときは、法務大臣に届け出ることによって、日本の国籍を取得することができる。 |
2 (略) | 2 (同上) |
(罰則)
第二十条 第三条第一項の規定による届出をする場合において、虚偽の届出をした者は、一年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。 2 前項の罪は、刑法(明治四十年法律第四十五号)第二条の例に従う。 |
(新設) |
国籍とは何か
そもそも、国籍とは何でしょう。
国籍とは、「個人の、特定の国家の構成員たる資格」を言い、個人の身分ないし資格を意味するものです。つまり、日本の国籍を得ることによって、その人と日本国家の間には法的関係が新たに発生します。主なものを挙げてみましょう。先ず、わが国の憲法に規定されている「国民の権利義務」があります。その中でも国内居住権・参政権は、国籍の有無にはっきり関係している権利です。それでは、簡単に帰化の概要(あらまし)をみていきましょう。帰化許可申請は、在留資格と違い事前に法務局と「事前相談」する必要があります。
その理由は、いままで説示のとおり「国籍」を変える、という重大なことですから審査する法務局としても「申請者」の人柄や、聞き取り調査によって申請要件を満たしているか確認する必要があるからです。その調査後に「要件を満たす」と判断されれば帰化申請がようやくできることになります。しかし、その要件を立証する資料や申請書の量は皆さんの想像を超える(必要書類一覧参照)ものになるのです。
そして帰化申請後、法務局の担当官の面接・審査を経て許可されるまでには、6箇月から1年程度の期間がかかります。帰化が許可された場合、官報(日本国の公文書など公示事項を登載し周知させるための機関紙)に告示され、かつ外国人申請者本人にも通知されます。よって、外国人申請者の方は自国の国籍を失うのと同時に官報の告示により帰化の効力が生じ日本国籍を取得することになります。
但し、税金の滞納や犯罪の前科その他の事由により不許可になる事もあります。不許可になった場合には不許可事由を精査し要件を整え許可再申請をする事になります。なお、明らかな不許可事由がある場合には帰化申請自体が法務省法務局に受理される事はありません。詳しくは帰化の要件をご覧下さい。
したがって、日本国籍取得後は日本人として生活をする事になるため、在留資格ビザの更新や手間のかかる外国人としての手続きは一切不要になります。今後も日本に定着し住み続けるつもりであるならば日本に帰化をされ日本人としての恩恵を享受される方が、より良い人生の選択になるのではないでしょうか。以下に帰化した場合の有益性をまとめます。
国籍付与の方法 → 生地主義と血統主義の2つがある
日本国憲法第10条には、「日本国民たる要件は、法律でこれを定める」とあり、国籍法(昭和25年7月1日・施行後数次の改正あり)で日本国民の要件を規定しています。現行法では出生と帰化の2つの方式によって日本国籍を取得することができます。
生地主義を採用している国
ちなみに、アメリカ合衆国、アルゼンチン、フランス、ブラジルなどは、自国の国土において出生したあらゆる者にその国籍を与える(日本の大使館または領事館に「国籍留保届出」をした者を除く)方式を採用しています。この考え方を「生地主義」と言います。
日本では血統主義を採用
日本では、親子関係を基礎として、父または母が日本人であるならば、出生地が国土内であろうとなかろうと、出生子には国籍を与える「血統主義」を原則としており、補充的に生地主義も採用しています。
「フジモリ元ペルー大統領(日系人)の国籍はわが国にあり」という報道が過去にありましたが、このような事案も日本の血統主義の産物と言えるでしょう。
日本人の子が生地主義の国で生まれた(国籍留保の届出をした人を除く)場合、両国の国籍を持つ二重国籍者となる。なお、22歳に達するまでにいずれかの国籍を選択しなければならない。
それでは下記に、【生地主義】と【血統主義】、そしてその双方を採用している国をまとめます。各国によって全く異なりますので、参考にしてください。
生地主義を採用している国:代表例
生地主義を採用している国は
アメリカ、カナダ、ブラジル、アイルランド、グレナダ、ザンビア、タンザニア、ニュージーランド、パキスタン、 バングラデシュ、 フィジー、その他の南北アメリカ諸国など
父母両系血統主義国:代表例
父母両系血統主義の国
アイスランド、イスラエル、イタリア、インド、エチオピア、エルサルバドル、オーストリア、オランダ、韓国、ガーナ、ギリシャ、スペイン、スウェーデン、スロバキア、タイ、中国、デンマーク、トルコ、ナイジェリア、日本、ノルウェー、ハンガリー、フィリピン、フィンランド、ブルガリア、ポーランド、ルーマニア、ロシア、など
両系統主義だが、条件付きで生地主義を採用している国:代表例
両系統主義だが、条件付きで生地主義を採用している国
イギリス、オーストラリア、オランダ、ドイツ、フランスなど
父系優先血統主義:代表例
父系優先血統主義の国
アラブ首長国連邦、アルジェリア、イラク、イラン、インドネシア、エジプト、オマーン、クウェート、サウジアラビア、シリア、スーダン、スリランカ、セネガル、トンガ、ネパール、マダガスカル、モロッコ、レバノンなど
帰化申請の流れ
帰化申請の流れは以下の通りです。
ポイントとなるのは、書類の収集と作成です。
今までのお客様の声などから、やはりこちらに時間がかかってしまい、帰化を諦めてしまう、という方がたくさんいらっしゃいました。
もちろん本人で申請を行うことができますが、労力や時間のことを総合的に考えると、専門家(行政書士など)に相談するのが良いでしょう。
1.事前相談
帰化許可申請は、入国管理局ではなく民事局(法務局)の管轄です。専門家(行政書士など)への相談を行い、専門家と最寄りの法務局に予約をとり事前相談することからスタートします。
2.専門家(行政書士など)に相談
専門家への相談によって、今の状況を客観的に把握することができます。
帰化に何が足りないのか、書類などの物質的な面、面接などの準備の面、など、様々な角度からアドバイスを受けられます。
3.提出書類の収集
必要な書類がわかったら、書類を収集します。
時間がかかり過ぎると、書類の有効期限がすぎて、再度取り直しが必要になってしまうこともあるので、
時間をかけずにスピーディに行う必要があります。
4.提出書類の作成
書類の作成をします。専門家にみてもらうことで、より精度の高い書類を作成することができるでしょう。
5.申請
書類が整ったら申請をします。
6.審査面接
実際に法務局の担当と面接をします。
その場で様々な質問をされたときに、丁寧に答える必要があります。
面接の質問や答えるポイントなどは、手続きの流れページの面接の項目に詳しく記載してありますのでご覧ください。